鎌倉七口のひとつ「朝夷奈切通し」。鎌倉幕府が手掛けた当時としては大掛かりな工事のひとつで、六浦(現在の横浜市金沢区)から鎌倉へ入る重要な道でした。仁治元年(1240)に設立が決まり、当時の執権・北条泰時は自ら工事を監督し、自分の馬に土石を運ばせたと言われています。
現在の金沢区周辺は塩の産地で、また六浦津と呼ばれる港でもあり国内の物資や唐からの物資が届く場所でした。そのため、日本の中心であった鎌倉と六浦を直に繋いだ朝夷奈切通しの意味は大きなものでした。切通し開通以降、幕府は六浦津を鎌倉の外港とし物流の拠点となりました。
朝夷奈切通しは鎌倉七口の中でも、当時の面影を存分に感じられる貴重な史跡となっています。現在では十二所から金沢八景へ抜けるハイキングコースとなっていて、切り立った険しい岩壁を間近に見る事が出来ます。驚くのはその岩壁の高さです。これほどの大掛かりな工事は、相当な労力を要したに違いありません。他の切通しや古道にも多く見られるやぐらも所々に見られ、単なる道路としての役割以外にも機能を果たしていた痕跡が多く見受けられます。
切り立った崖の真上を高速道路(横浜横須賀道路)が通っていたり、大刀洗川の源流の上を沢下りのように歩いたりと、バラエティに富んだ道で楽しめます。峠のちょうど真ん中あたりに、幕府の守護神と伝わる熊野神社もあるので、こちらに立ち寄ってみるのもおすすめです。
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朝夷奈切通し |
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神奈川県鎌倉市十二所から横浜市金沢区朝比奈町 |
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鎌倉駅東口から京急バス。5番乗り場から鎌24に乗車します。「十二所神社」で下車すれば鎌倉側から金沢側へ、「朝比奈」で下車すれば金沢側から鎌倉側へと通行する事が出来ます。また、金沢八景駅からもバスが出ています。 |
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なし。車は通行出来ません。近隣への路上駐車はご遠慮下さい。 |
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なし。自転車での通行は難しいと思われます。 |
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撮影自由 |
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OK |