鎌倉の紫陽花の見頃は5月の終盤から6月いっぱい。7月に入るともうどこの紫陽花も主役を譲り渡す頃です。
鎌倉の紫陽花の名所、見どころといえば「鎌倉三大紫陽花寺」といわれる、北鎌倉の「明月院」、長谷の「長谷寺」、極楽寺坂の「成就院」ですが、成就院の紫陽花は2015年から次世代の紫陽花へと整備中のためしばらくはご覧いただくことができません。ご注意を!
「あじさい寺」とも呼ばれる明月院は北鎌倉駅から徒歩10分。もともとは「禅興寺」の塔頭(たっちゅう)の一つです。
禅興寺は2度に渡る元寇を退けた鎌倉幕府の八代執権北条時宗が、父であり五代執権でもある北条時頼が建てた最明寺を禅興寺として再興したもの。その禅興寺も明治の始めに廃寺となり明月院のみが残り今に至ります。
明月院の紫陽花の見頃は毎年6月の中旬から下旬まで。境内は見渡す限りあじさい、アジサイ、アジサイ。その95%は日本の古代種「姫あじさい」。あじさいは古くは万葉集にも出てきますから、1200年以上も梅雨の時期の日本人の心を癒してきたのですね。
最盛期には山門から北鎌倉駅に向かう道路に行列ができるくらいに大人気の明月院。少しでもゆっくり落ち着いて楽しみたい場合は、平日の早朝がおすすめです。
名称:福源山明月院
創建:1300年代
住所:鎌倉市山ノ内189
開門時間:9:00~16:00(6月のみ8:30~17:00))
拝観料:300円(6月は500円)/ 本堂奥庭園は別途500円
鎌倉で紫陽花といえば明月院、成就院に長谷寺。長谷寺は江ノ電長谷駅から徒歩5分。朝8時に鐘の音と同時に開門する山門を入ると、目の前には西方極楽浄土といわれる極楽浄土を模した日本庭園。その先の小高い丘へと階段を上ると本堂があり、奈良から海を渡ってやってきたと伝わる木造日本最大級の十一面観音様がいらっしゃいます。御本尊に手を合わせた後は本堂左手からさらに上へと伸びる「眺望散策路」へ。
その年の気候によって変動はありますが、長谷寺の紫陽花の見ごろは6月の初・中旬から下旬にかけて。長谷寺の裏山の斜面いっぱいに赤や赤紫、青紫や青など色とりどりの紫陽花が咲き乱れます。数え切れない紫陽花と、眼下に広がる鎌倉の街並み。由比ヶ浜から逗子、葉山へと続く海の絶景。
紫陽花の最盛期の週末には眺望散策路入り口に行列ができます。朝8時の開門に合わせていくことが出来れば、比較的落ち着いて紫陽花を愛でることができます。
名称:海光山慈照院長谷寺
創建:736年と伝承
住所:鎌倉市長谷3-11-2
開門時間:開門8:00〜17:00
拝観料:大人300円 / 小人100円
今年の紫陽花は成就院さんがお休みということで、そこに代わる紫陽花スポットをあげるとするならば、こちらの「御霊神社」さんが有力候補となるでしょう。
長谷寺、明月院のように紫陽花の株数は多くはなく壮観さはありませんが、鎌倉のエッセンスがぎゅっと詰まった写真が撮れること間違いなし。鎌倉にきた事を強く実感させてくれるおすすめスポットです。
名称:御霊神社
創建:平安時代後期
住所:鎌倉市坂ノ下4-9
開門時間:9時〜17時(境内自由)
拝観料:なし(志納)
花の寺として有名な東慶寺は、江戸時代まで「駆け込み寺」として女性からの離縁を手助けしていたことでも有名な寺院です。四季を問わず花の絶えない東慶寺の山門では、「花ごよみ」のパンフレットも配られているほど。そんなお寺もやはり梅雨時期は紫陽花が見事です。
まずは山門へと続く階段の両脇で、一面に咲き誇る大振りの紫陽花たち。訪れる人を歓迎してくれます。山門を入ると左手にある梵鐘。こちらでは早めの時期に咲き始める、濃いブルーのガクアジサイが見事です。サツキの咲く5月下旬には、ピンクとブルーの競演を楽しめます。奥へと続く参道の途中にもそこかしこで可愛らしい紫陽花が。また花菖蒲やイワガラミ、イワタバコも6月頃が見頃となります。
名称:松岡山東慶総持禅寺
創建:1285年
住所:鎌倉市山ノ内1367
開門時間:8:30-17:00(11月〜2月は8:30-16:00)
拝観料:大人 200円 / 小中学生 100円
和菓子屋さんにも紫陽花の名所があるのをご存知ですか?梅雨の時期にしかお目にかかれない季節の花ともいえる上生菓子をご紹介します。
北鎌倉駅の東口ロータリー内にある「御菓子司こまき」さん。1948年創業の老舗和菓子店です。こちらの上生菓子は北鎌倉の円覚寺や東慶寺の茶店でも提供されている、地域に愛されるお菓子なのです。
季節の花をモチーフにした物が多いので、梅雨の時期はもちろん「紫陽花」。上品な餡を細かくした寒天で包んだ一品。雨上がりの紫陽花の雫が、太陽の光を受けてキラキラしているかのよう。お抹茶とセットで頂くことが出来ます。円覚寺の百鷺池を独り占め出来る、素敵な店内で堪能しましょう。
紫陽花の時期しか作られていないこちらのお菓子、北鎌倉を散策する際には訪れておきたい紫陽花スポットのひとつです。
名称:御菓子司こまき
住所:鎌倉市山ノ内501
営業時間:10:00~16:30(L.O 16:00)
定休日:火曜日
建長寺といえば鎌倉五山第一位の堂々たる山門に、広い境内。紫陽花の株数がとても多い寺院でもあります。立派な禅寺の建築物を背景に咲く紫陽花たちからは力強ささえ感じられます。シーズンになると境内の至る所で紫陽花が華やかに咲き誇ります。
仏殿の脇を通り、唐門へ続く参道ではモリモリと咲く大振りのホンアジサイ。金色に彩られた唐門をバックに見る紫陽花は建長寺ならでは。建長寺の紫陽花ロードといえばここでしょう。また、左奥へ進むと現れる天源院の石段の紫陽花も見事。石段の脇を青い大きな紫陽花が彩る様子は圧巻です。境内をさらに奥み、天園ハイキングコースの方へ足を伸ばすと半僧坊参道がありますが、こちらも紫陽花ロードとなるのでお見逃し無く。
名称:巨福山建長興国禅寺
創建:1253年
住所:鎌倉市山ノ内8
開門時間:8:30 - 16:30
拝観料:大人 300円 / 子供 100円
お寺や神社に目が行きがちですが、「亀ケ谷坂切通し」は北鎌倉の隠れ紫陽花スポットともいえる場所です。
かつては北鎌倉と鎌倉中心部を結ぶ大事な切通しとして機能していました。路面はアスファルトに姿を変えてしまったものの、今でも生活道路として多くの人が利用しています(二輪車、歩行者のみ通行可)。
特に紫陽花が綺麗に咲くのが、北鎌倉側の入り口付近。長寿寺の横に沿うように道があるので、長寿寺の苔壁と紫陽花に挟まれたこの古道は独特の雰囲気を醸し出します。背の高い元気いっぱいの紫陽花がモリモリと咲く様子は見応えありです。ガクアジサイが初めに咲き始め、順に青やピンク、白のホンアジサイが見頃となります。
名称:亀ケ谷坂切通し
創建:13世紀の中頃
住所:鎌倉市山ノ内1520 長寿寺の付近
通行:自転車、バイク、歩行者のみ。
拝観料:なし
北鎌倉にある鎌倉五山第二位の大寺院・円覚寺。今でも広大な境内を誇り、紫陽花も所々で見ることが出来ます。広い境内にゆったりと咲く紫陽花には堂々とした風格さえ感じます。雨の日でも訪れる人の心を癒してくれるものです。
一番の見どころとなるのは仏殿に向かって右側となる、方丈との間の道。ホンアジサイが多く植えられています。おそらくここに最も多くの紫陽花が集っているといえるでしょう。また、境内の奥地になる佛日庵と如意庵の間でも多くの紫陽花を見ることが出来ます。ちなみに佛日庵では、縁の下でお抹茶を頂きながら紫陽花を眺める…という、粋な楽しみ方も出来ます。
名称:瑞鹿山円覚興聖禅寺
創建:1282年
住所:鎌倉市山ノ内409
開門時間:8:00 - 16:30(12月〜2月は8:00 - 16:00)
拝観料:大人 300円 / 子供 100円
北鎌倉の紫陽花スポットとして一度は行っておきたいのが浄智寺です。かつては壮大な伽藍を誇ったお寺ですが、現在ではこじんまりとした中にギュッと凝縮された深い味わいを持っています。
付近に源氏山や葛原岡ハイキングコースの入り口があることから分かるように、山と隣り合わせの立地です。境内も自然のままのナチュラルさが魅力的な、鎌倉ならではの風情溢れる景観。この浄智寺でも、山門付近や総門前で紫陽花を楽しむことが出来ます。
山門へと続く石段脇は上の方に紫陽花の株が植えられています。鎌倉ならではの雰囲気を持つ石段は、曲がったり欠けたりしていて、雨が降ると水溜りが出来てしまったり。しかしそれがこのお寺の良さを引き立てているように感じられます。紫陽花が咲く頃は、そこにさらにカラフルな彩りが加えられて絶妙なコンビネーションとなります。また、茅葺き屋根の書院と前に広がる庭園は、山寺の雰囲気が抜群に出ているスポットです。この庭園周辺にも紫陽花が咲くので、こちらも要チェックです。
名称:金峰山浄智寺
創建:1283年
住所:鎌倉市山ノ内1402
開門時間:9:00 - 16:30
拝観料:大人 200円 / 子供 100円
鎌倉中心地から離れた、二階堂の奥地・紅葉ガ谷。深い谷戸にある瑞泉寺は山々に囲まれ静かに時を刻んでいます。そんな瑞泉寺でも、多くの紫陽花を見ることが出来ます。紫陽花の名所と呼ばれる寺院はシーズンになると大変混み合いますが、ここ瑞泉寺は離れた場所にあるため静かに紫陽花を眺めることが出来るのが最大の魅力です。
拝観受付の裏手にある庭園は面積も広く、最も多くの紫陽花が植えられています。庭園の間に小道が付けられていて、その中を散策するのがおすすめ。ゆったりと紫陽花さんぽを楽しめます。山と隣り合わせの庭園では、自然の恩恵を受けた野性味溢れる力強い紫陽花が魅力的です。
一方、境内では色々な紫陽花があちらこちらで花を咲かせます。お寺の雰囲気のせいかここの紫陽花は優しい表情をしているように感じられます。特に梵鐘の回りや、藤棚の近くが見どころ。本堂から名勝庭園へ向かう道では、品のある可憐なガクアジサイが見られます。
名称:錦屏山瑞泉寺
創建:1327年
住所:鎌倉市二階堂710
開門時間:9:00 - 17:00
拝観料:大人 200円 / 小中学生 100円 / 障がい者無料
鎌倉の三大紫陽花寺といえば、「明月院」「長谷寺」とあともう一つは「成就院」ですが、昨年に続き今年も参道の工事のために紫陽花はお休みです。
そうそう、昨年には南三陸町大雄寺さんへ紫陽花250株を植樹のために送ったようですが、今年も250株の紫陽花を大雄寺さんへと送るようです。境内では東北へと旅立つのを待つ鉢植えの紫陽花が並んだ姿は壮観です。(2016年5月18日現在)
名称:普明山法立寺成就院
創建:1219年
住所:鎌倉市極楽寺1-1-5
開門時間:8時〜17時
拝観料:なし(志納)
鎌倉唯一の尼寺・英勝寺。四季を通じて花を楽しめるこのお寺でも紫陽花の季節がやって来ます。順路のはじめの庭園の小道は、両側に様々な紫陽花が咲き誇ります。大きな花が特徴のホンアジサイは時期によって色が変わって行くのでそれもまた楽しみの一つ。ガクアジサイは様々な種類があり、白ベースで赤い縁取りの花びらを持つ珍しい花なども英勝寺では見ることが出来ます。
庭園を回って門の方へ行くと、鎌倉唯一の袴腰という様式の鐘楼。また、その横には国の重要文化財になっている男前な総門。鞠のようにモリモリした元気な紫陽花が彩り添えると、よりこれらの古建築物を際立たせます。また、竹林側にはピンクのガクアジサイ。姫御殿跡である竹庭の前も紫陽花でいっぱいになるのでこちらも見どころの一つです。
名称:東光山英勝寺
創建:--年
住所:鎌倉市扇ガ谷1-16-3
開門時間:9:00 - 16:00
拝観料:大人 300円 / 高校生 200 / 小中学生 100円 / 乳幼児 0円
日蓮が立正安国論を執筆したとも言われている安国論寺は、大町にある静かな寺院です。紫陽花寺の有名どころとは一味違った紫陽花を楽しむことが出来ます。特に静かな場所でゆったりと散策したい方にオススメ。大人の紫陽花散歩ができますよ。
山門から本堂への参道脇には、淡い色合いが印象的な青やピンクのガクアジサイ。参道の灯籠や綺麗な苔の雰囲気を損なわない上品な色合いです。心を落ち着かせてくれる紫陽花を眺めながら本堂へ向かうと、その周りでは色や形も様々な紫陽花が出迎えてくれます。普段のお寺の雰囲気よりも華やかになりますね。
境内の奥へ行くと、日蓮が草庵を焼き討ちにされた時に避難したとされている南面窟があります。この南面窟に向かう階段沿いにはとても多くの株が植えられています。道へ覆い被さるかのように、背の高い元気な紫陽花株。日陰なのでこちらの開花は安国論寺の中でも少し遅めですが、開花すると見事な紫陽花ロードとなります。
名称:妙法蓮華山安国論寺
創建:1253年
住所:鎌倉市大町4-4-18
開門時間:9:00 - 17:00
拝観料:大人 100円
紫陽花の時期になると、有名どころの長谷寺や明月院などは大変混雑します。そんな人混みは嫌だけど、お寺で紫陽花を見たい!という方にオススメしたいのが妙本寺です。時期的に北鎌倉などは全体的に混み合いますが、妙本寺は鎌倉駅から近い好立地なのに意外と穴場なのです。
新緑や紅葉の時期もそれぞれ季節の表情があり、いつ訪れても風情があって鎌倉らしいお寺です。谷戸にあるため梅雨特有のジメジメ感は拭えませんが、境内に咲く爽やかな色味の紫陽花を見ていると夏の訪れを予感させます。
惣門から本堂へと続く参道は、階段を囲むように紫陽花が植えられているので見事な景観となります。こちらは開花時期は少し遅めです。また、日蓮像の前や祖師堂の周りにも多くの紫陽花が植えられています。そして一番のおすすめ、フォトジェニックなスポットは二天門前です。紫陽花の株数は多くはありませんが、落ち着き目のガクアジサイと美しい朱色の二天門とのコラボレーションが楽しめます。
名称:長興山妙本寺
創建:1260年
住所:鎌倉市大町1-15-1
開門時間:9:00 - 16:00
拝観料:無料