「靴を脱いで」お堂に上がれる、鎌倉のお寺。

(画像)円覚寺・方丈から望む庭園

  • (画像)円覚寺・方丈から望む庭園
  • (画像)宝戒寺・本堂
  • (画像)杉本寺・本堂
  • (画像)光明寺・本堂
  • (画像)円覚寺 佛日庵・本堂
  • (画像)明月院・方丈
  • (画像)上行寺・本堂
  • (画像)長寿寺 方丈内観
  • (画像)建長寺 方丈からみる池泉庭園
  • (画像)浄妙寺 喜泉庵・内観

鎌倉のお寺の中には、靴を脱いでお堂の中に上がれるお寺がいくつかあります。
「靴を脱いで上がる」、実に日本らしさが溢れるこの行動。
私たち日本人は靴を脱ぐことで家にいるような安堵感を得ている気がします。
素に近い自分に戻って、そんな素直な心でお寺と向き合う。そこに意味があるような気がするのです。
行ってみて初めて感じる、科学では証明できないような「何か」をあなたも感じてみてはいかがでしょう。
実際にお堂の内部へ「靴を脱いで上がれる」お寺を集めてみました。

目次

01 本堂は仏像ワールド、不思議なパワーを秘めたお寺。

01-1 宝戒寺 本堂

(画像)宝戒寺 本堂1

  • (画像)宝戒寺 本堂1
  • (画像)宝戒寺 本堂2
  • (画像)宝戒寺 本堂3
  • (画像)宝戒寺 本堂4
  • (画像)宝戒寺 本堂5

小町にある宝戒寺は畳敷きの本堂内部に上がることができます。
ご本尊の子育経読地蔵菩薩をはじめ、堂内に祀られる多くの仏像に至近距離でお参りができる貴重なお寺です。

鶴岡八幡宮から最も近いであろう場所に立つ宝戒寺。
かつてはこの地に鎌倉幕府執権・北条氏の屋敷がありました。
現在の宝戒寺近くに残る東勝寺跡地。
ここでは鎌倉幕府滅亡の際に北条一族と家来含め820人余りが自害したという壮絶な歴史があります。
その犠牲者を弔うため建立されたのが宝戒寺なのです。
それだけ聞くと北条氏の怨霊でも出そうな気がしてくる宝戒寺ですが、実際はとてものどかな雰囲気を保っています。

靴を脱いだら、拝観口でもらった券を本堂の拝観券入れへ投函して堂内へと進みます。
厳かな雰囲気で入りにくいかと思いきや意外と開放的な雰囲気なのが良いところ。
お堂の中は風通しが良く、開け放たれた扉の間から見える境内の緑が清々しいです。
ゆったりした畳敷きの間を歩いていくと奥に仏像が祀られます。
宝戒寺では本堂だけで実に15体もの仏像に会えるのです。

堂内右手には閻魔大王像などが祀られ、左手には鎌倉七福神のひとりである毘沙門天、
鎌倉三十三観音のひとりである仏母准胝観世音もいらっしゃいます。
そして中央には鎌倉二十四地蔵のひとりであるご本尊の子育経読地蔵。
その脇侍に帝釈天と梵天、それを囲むように十王像が祀られています。
天井から吊るされた金色の装飾は唯一この堂内で煌びやかなもので、あとは武士文化らしく質素なものです。
私は何度もここへお参りしていますが、お線香に火を灯し一礼一拝すると、ご本尊のお地蔵さまと通ずるような気さえしてきます。
荒んだ心でここへ来たとしても、それを綺麗にしなさいと言われている気がしてくるのです。
まさに心が洗われるとはこの事。
お堂を出る頃には不思議とすっきりした気分になっているものです。

UNIQUELY鎌倉
宝戒寺 拝観時間・アクセス等

01-2 杉本寺 本堂

(画像)杉本寺 本堂1

  • (画像)杉本寺 本堂1
  • (画像)杉本寺 本堂2
  • (画像)杉本寺 本堂3
  • (画像)杉本寺 苔生した石段
  • (画像)杉本寺 参道

金沢街道に面する鎌倉最古の寺院・杉本寺では、本堂内に数多く祀られた仏像を超至近距離でお参りできます。
鎌倉一と言っても良いほど独自のワールドを味わえる空間です。

杉本寺は鎌倉幕府創建より遥か前からこの地に立つ、鎌倉最古のお寺です。
寺伝によれば、天平3年(731年)に行基によって建てられました。
全国各地を行脚し、社会事業に貢献した行基は「行基菩薩」と敬われ民衆の支持を集めました。
民衆に寄り添うような行基の心を今も引き継いでいるように思える現在の杉本寺なのです。
「十一面杉本観音」と力強い黒字で書かれた白いのぼり旗がいくつも立ち並ぶ杉本寺の参道を上がり、参拝者は本堂の観音堂を目指します。
茅葺き屋根の本堂は実に質素な佇まい。
しかし、内部のパワフルな仏像ワールドに始めた訪れた人は圧倒されることでしょう。

薄暗い本堂内へ一歩進むと、お線香の香りとともに独特な雰囲気が漂います。
奥には構えるたくさんの仏像。
視線を上へと上げれば、過去に貼られたのであろう多数の千社札。
現在では貼り付け禁止ですが、今では堂内の絶妙な味付けとなっている気がします。
「撮影禁止」と書かれた場所で靴を脱ぎ、いよいよ畳の上へと上がります。
多くの寺院では堂内の奥や真ん中にのみ仏像が祀られていることが多いのですが、杉本寺では全体に仏像が祀られているのです。
しかも多くの像が等身大かそれ以上の大きなものです。
「観音三十三身」を33と数えれば堂内には実に40以上の像があることになります。

堂内中央に本尊前立の十一面観音、不動明王、毘沙門天が並びます。
左には鎌倉二十四地蔵の札所本尊となっている尼将軍地蔵と矢拾地蔵など。
右側には観音様が姿を変えてそれぞれの者を救う姿を示した33体からなる観音三十三身。
おそらくこの至近距離でこれだけ数多くの仏像にお会いできるお寺は鎌倉では他にないでしょう。
圧倒されるこの空気感。
そして、板の間を挟んで奥の大悲殿と呼ばれる間に祀られているのが、本尊で秘仏となっている3体の十一面観音像です。
格子越しにしかその姿は拝見できませんが、他の追随を許さない存在感を放っています。
ほの暗いあかりの中に佇んでいる様子は別の世界を眺めているかのようです。

悟りを開くなんてことは容易く言えませんが、杉本寺本堂に来ると胸のつかえがすっきりと取れてしまうのです。
私の抱える問題なんて、広い世界では小さなこと。
生かされていることにもっと感謝をしなくては。
私にとって杉本寺は、そんな当たり前のことに改めて気付かさせてくれる原点回帰の場所です。

UNIQUELY鎌倉
杉本寺 拝観時間・アクセス等

01-3 光明寺 本堂

(画像)光明寺 大殿内観1

  • (画像)光明寺 大殿内観1
  • (画像)光明寺 大聖閣
  • (画像)光明寺 大殿内観2
  • (画像)光明寺 枯山水庭園
  • (画像)光明寺 大殿外観

材木座の海からすぐの場所にある光明寺は、鎌倉一大きな本堂で堂々とした佇まい。
本堂はいつでも解放されていて、参拝者は広い畳敷きの間に自由に出入りできます。

光明寺は四代執権・北条経時の頃に良忠上人によって建てられました。
のちに記主禅師と呼ばれるようになった良忠上人は、浄土宗開祖の法然上人から数えて三祖となった人物です。
鎌倉幕府の帰依を受け発展していった光明寺は浄土宗の関東総本山となりました。
高さ20mにもなる山門は鎌倉一大きく、大殿と呼ばれる本堂も鎌倉一の大きさを誇ります。

靴を脱いで大殿に上がるとその空間の広さと大きな畳の間に圧倒されます。
左に記主庭園、右に枯山水庭園を従えた大殿は実に堂々としています。
入り口から見て奥側に仏像が並び、中央に本尊の阿弥陀三尊が祀られます。
極楽浄土を表すという煌びやかな装飾は金色が強調されとても華やかな印象です。
私が訪れた日はお十夜法要の期間中だったので、いつもよりもさらに華やかな佇まいとなっていました。
左壇には宗祖の法然上人坐像と鎌倉三十三観音のひとつ・如意輪観世音が祀られます。
それぞれにお参りして一息つき、ふと再び堂内を見渡すと先ほどよりも広く感じられるから不思議です。
続いて枯山水庭園を見て、さらに記主庭園へと向かいます。
渡り廊下はお隣開山堂や奥にある書院、そして池の向こう側にそびえる大聖閣へと続いています。
ここから見る記主庭園と大聖閣は絵画のような景色です。
夏には古代ハスが咲き乱れ、より美しい姿になります。
またこの池はカワセミが住んでいることでも有名で、たまたま狩りをする小さな青い鳥の姿を目撃。
ベンチに座ってぼんやりしていると、時々風に乗って潮の香りがやってきて、海の近くであることを思い出させてくれます。
時間を忘れていつまでも眺めていたくなる…そんな景色です。

浄土宗は万人に受け入れやすい開かれた宗教として知られますが、材木座という立地がさらにその開放感を助長しているように感じられます。
実際歩いてみると分かりますが、材木座は良い意味で実にゆるりとした雰囲気で素敵なところなのです。

UNIQUELY鎌倉
光明寺 拝観時間・アクセス等

02 本堂に上がれるお寺。

02-1 円覚寺 佛日庵

(画像)円覚寺 佛日庵

  • (画像)円覚寺 佛日庵
  • (画像)円覚寺 佛日庵
  • (画像)円覚寺 佛日庵
  • (画像)円覚寺 佛日庵
  • (画像)円覚寺 佛日庵

円覚寺の奥に位置する塔頭・佛日庵。
延命地蔵尊が祀られる佛日庵の本堂は、靴を脱いで堂内へ上がってお参りができるようになっています。

北鎌倉の駅前、広大な境内を持つ円覚寺。
かつては円覚寺の境内だった場所をJR横須賀線は通っています。
元寇の犠牲者を弔うため、北条時宗によって1282年に建てられました。
今でも19の塔頭が残り、その中の一つが佛日庵です。
佛日庵は「開基廟(かいきびょう)」と呼ばれる茅葺き屋根のお堂を持ち、開基である北条時宗並びに貞時、高時の廟所(墓所)となっています。
伝承によるとお堂の下には時宗の遺骨が納められていると伝わります。

佛日庵は開基廟がメインと思われがちですが、本堂はその隣の建物でご本尊に延命地蔵尊を祀ります。
2007年に建て直されたお堂でとても綺麗な佇まい。
階段を登り、軒の手前で靴を脱ぎ、堂内へと上がります。
柔らかな暖かい印象がするので緊張することなく上がることができます。
真新しい木の香りがして来そうな整然とした印象を受ける空間ですが、正面には延命地蔵尊。
鎌倉二十四地蔵の14番札所にもなっているお地蔵さまです。
正座してお地蔵さまと正対して「一礼一拝」。
この一瞬の静寂に包まれる時間が堂内参拝の醍醐味なのです。
延命地蔵さまですから「自身と周りの人たちが健康でありますように」と欲張りなお願いをしてみました。

この日はどうやら日本人の方が少ないようでした。
そう、ここ佛日庵は外国人観光客からも人気の場所です。
こじんまりした境内ですが、茅葺き屋根の開基廟、風情ある茶室、そして堂内に上がってのお参り…と見所盛りだくさん。
また、お抹茶(¥500)が頂けるのも良いところ。
緋毛氈が敷かれた軒下やベンチに腰掛けて、ゆっくりとお抹茶を頂くのも至福の時間です。
日本人からしても「日本らしい」体験ができる場所のひとつだと思います。

UNIQUELY鎌倉
円覚寺 拝観時間・アクセス等

02-2 明月院 本堂・方丈

(画像)明月院・方丈1

  • (画像)明月院・方丈1
  • (画像)明月院・方丈2
  • (画像)明月院・方丈3
  • (画像)明月院・本堂と方丈外観1
  • (画像)明月院・本堂と方丈外観2

紫陽花で有名な明月院。
実は本堂内に上がってのお参りができます。
また、「悟りの窓」と呼ばれる円窓で有名な方丈にも上がることができます。

梅雨時には紫陽花が咲き誇る明月院の石段。
紫陽花の季節以外は綺麗に剪定された花をつけていない紫陽花の株があるばかりで、どこか心寂しい印象のする石段です。
しかし、まっすぐと中門に続いていく道は禅寺らしい素朴な佇まいを表しているようにも思えます。
中門をくぐった先に本堂と方丈、見事な枯山水庭園があります。
紫陽花で混雑する時期は、多くの人が素通りしていってしまうのが見受けられる本堂。
お寺の本質は本来建物や仏像にあると思うのです。
紫陽花や紅葉の季節以外で明月院を訪れる方は、お寺本来の良いところがたくさん感じられるのではないでしょうか。
是非とも空いている時期にも来ていただきたい明月院です。

本堂は円窓の左隣にあり、奥まで入ることはできませんが靴を脱いで手前までは上がれるようになっています。
明月院は本堂内部のみ撮影禁止。
それだけ本堂は神聖な場所だということですね。
天井からは金色の煌びやかな装飾が釣り下がります。
堂内はこじんまりとしていますが、正面にご本尊の聖観世音菩薩、左隣に鎌倉幕府5代執権・北条時頼の坐像が祀られて厳かな雰囲気です。
北条時頼は37歳の若さで亡くなりましたが、最期はこの明月院の前身であり自ら建立した最明寺(さいみょうじ)で過ごしたと言われています。
一礼一拝すると、自然と遠く昔の人々のことをぼんやりと考えている自分がいました。

続いてはお隣の方丈へ上がります。
ユニセフへ300円募金すると入れる仕組みになっているので青い募金箱に硬貨を入れます。
「悟りの窓」とも呼ばれる方丈の円窓の向こう側には本堂後庭園が広がります。
畳の上に敷かれた毛氈に座ると、時間を忘れてのんびりしてしまいます。
円窓の切り取る世界は季節を問わず美しいものです。
ちなみに円窓から後庭園側の軒下にも出ることができます。

UNIQUELY鎌倉
明月院 拝観時間・アクセス等

02-3 上行寺 本堂

(画像)上行寺・本堂内観1

  • (画像)上行寺・本堂内観1
  • (画像)上行寺・本堂内観2
  • (画像)上行寺・本堂内観3
  • (画像)上行寺・本堂外観
  • (画像)上行寺・山門

大町にある一見ユニークな佇まいの上行寺。
「癌封じ」に力強いご利益があると言われ、本堂内に直接上がってお参りをすることができます。

大町には日蓮宗の寺院が数多くあります。
上行寺以外の日蓮宗の寺院は、本堂は閉ざされご本尊が公開されている場所はありません。
威厳のあるお寺の佇まいといったら良いのでしょうか。
それに対し、上行寺は同じ宗派であるにもかかわらずとてもオープンな開かれたお寺なのです。
味のある手書きの「癌封じ」をはじめとする文言が建物外装に、また堂内にも張り紙がいたるところに貼られます。
「お経中でもどうぞお気軽にお参りください」「浄財など志納金は強制ではございません」
など、とても謙虚な言葉が並びます。
歴史的には北条政子が源頼朝のおできに悩み、ここ上行寺の立つ場所にあった稲荷社に願をかけてお参りしたのが始まりと伝わります。
その後鎌倉時代のうちに日蓮宗の寺院となり、源家北条家の病気平癒の祈願所となったようです。

畳敷きの本堂内は昭和のおばあちゃんちのようで懐かしい雰囲気も感じられます。
座って休憩できるように座布団や椅子が用意され、忘れ物コーナーまであります。
鎌倉の他のお寺でこんな親切なサービスのあるところは他にないでしょう。
これだけでも温かみを感じずにはいられません。
堂内へ一歩足を踏み入れると、まずは天井から吊るされた多数の千羽鶴に目が行きます。
カラフルな千羽鶴の間には「瘡守稲荷(かさもりいなり)」の赤い提灯が下がり、実に派手。
主に病魔退散を叶えてくれるのはこの瘡守稲荷で、御守りが前に置いてありここで授与されます。
私も母が大病をしたときにお守りを求めてここへ来ましたが、住職さんが丁寧に話を聞いた上で参拝の仕方を教えてくれ、
さらに少しですが御守りにお経をあげてくれて至れり尽くせりでした(おそらく祈祷とは別のものです)。
遠方からもこの御守りを求めて参拝者がやってくるのも頷けます。
ちなみに私の母は無事に回復しました。

堂内左側には鬼子母神(きしもじん)が祀られます。
こちらは上行寺のご本尊であり、日蓮宗・法華経の守護神といわれ、子供の守り神とされます。
隣には千手観音も祀られます。
祭壇の下に目をやると、さまざまな手書きの知識があれこれと並べられ、読んでいるだけでも興味深いものです。
見た目の風情や雰囲気など「お寺とはこういうものだ」という概念を良い意味で覆してくれる、上行寺はそんな体験をできる場所なのです。

UNIQUELY鎌倉
明月院 拝観時間・アクセス等

03 方丈や茶室の雰囲気がおすすめのお寺。

03-1 円覚寺 方丈

(画像)円覚寺 方丈からみる庭園

  • (画像)円覚寺 方丈からみる庭園
  • (画像)円覚寺 方丈内観1
  • (画像)円覚寺 方丈内観2
  • (画像)円覚寺 方丈・ご本尊
  • (画像)円覚寺 庭園

円覚寺の方丈は2014年より一般開放となり座禅など催し物がある時以外は自由に出入りができる開かれた場所となりました。
ご本尊に釈迦牟尼仏を祀ります。

方丈とは本来、住職の居住する場所でしたが、近年では行事の中心的な場所として機能しています。
円覚寺では法要や座禅、日曜説法、宝物風入れ展のほか、チャリティーコンサートなども行われています。
繰り返し改修工事を行なっている方丈はとても綺麗に保たれています。
さすがは大寺院の方丈だけあって内部もとても広く、堂々とした佇まいです。

向かって右側の入り口から靴を脱いで内部へと入ります。
右手が関係者のみ入れる場所となっていて、一般参拝者は左手方丈のメイン部分を拝観出来るようになっています。
右手に堂内の畳敷きの間を見ながら板の間となっている廊下部分を進みます。
上を見上げると壁の高い部分にたくさんの人名がずらり。
歴代住職の名前なのか、方丈の改修工事に携わった人々なのかは定かではありませんが、歴史の重みを感じるものでした。
畳の間の奥には方丈のご本尊である釈迦牟尼仏坐像が鎮座しています。
重厚感のある姿で方丈を守っているかのようです。
ご本尊を回り込むようにお堂を外周していくと、見事な庭園が見えてきます。
中央に池のある庭園は禅宗様式で紅葉の時期などはさらに美しい姿となります。
方丈から眺めると、窓枠に切り取られた景色が絵画のようでまた美しいものです。
椅子も設置されていますので、座ってゆっくりと物思いにふけるのもオススメです。

UNIQUELY鎌倉
円覚寺 拝観時間・アクセス等

03-2 長寿寺 方丈・書院

(画像)長寿寺 方丈からみる庭園1

  • (画像)長寿寺 方丈からみる庭園1
  • (画像)長寿寺 方丈からみる庭園2
  • (画像)長寿寺 方丈からみる庭園3
  • (画像)長寿寺 庭園からみる方丈
  • (画像)長寿寺 観音堂

長寿寺は春と秋の季節限定で境内が公開される特別なお寺です。
続き間になった本堂と方丈、書院には靴を脱いで上がることが出来ます。

扇ガ谷と北鎌倉を結ぶ鎌倉七口の一つ、亀ケ谷坂切り通し。
その北鎌倉側の入り口に立つのが長寿寺です。
1336年に足利尊氏によって創建されたと伝わり、境内には尊氏の遺髪を埋葬したと伝わる墓所が残されています。
鎌倉街道からは山門が見えますが実に質素な佇まい。
決まった季節と曜日にしか公開されないので参拝したことがないという方も多いことでしょう。
しかし、その境内は鎌倉に来たならば一度は見るべき美しい景色を数多く持ち合わせています。
特に特筆すべきはお堂の内部からの景色です。
堂内も魅力的ですが、長寿寺の醍醐味は様々な角度から眺められるお堂と庭園の調和した景色です。

堂内拝観の入り口からみて左手が、釈迦如来が祀られた平成18年に新築された本堂。
そして右手が書院と方丈となっていて、全てが続き間になっています。
奥の書院から眺める庭園の景色は、建物に切り取られた風景が計算されているかのようにどこから見ても美しい姿。
建物をつなぐ廊下からの景色もまた美しく、また違った表情を見られます。
訪れた人々は縁側に腰掛け、しばらくの間その風景に見とれてその場を離れなくなるほど。
また、方丈からは山門側にある観音堂と苔の庭を眺めることができ、こちら側の景色も違った良さがあります。
書院側が近代的な和の風情とすれば、方丈側は昔ながらの侘び寂び…といったところでしょうか。
同じ寺院の堂内で二種類の味が楽しめる欲張りな参拝となることでしょう。

UNIQUELY鎌倉
長寿寺 拝観時間・アクセス等

03-3 建長寺 方丈

(画像)建長寺 方丈からみる池泉庭園

  • (画像)建長寺 方丈からみる池泉庭園
  • (画像)建長寺 方丈内観1
  • (画像)建長寺 方丈からみる唐門
  • (画像)建長寺 方丈内観2
  • (画像)建長寺 方丈内観3

建長寺の方丈は大きく立派な佇まいです。
開山の蘭渓道隆の作と伝わる見事な「池泉庭園」が方丈裏にあり、方丈から眺める景観は素晴らしいものです。

金箔の施された派手な風貌の唐門の先に建長寺の方丈「龍王殿」があります。
方丈は本来住職の居住する場でしたが、現在では様々な行事に使われる場となっています。
普段は一般公開されていて自由に拝観が可能です。
靴を脱いだら無くさないように備え付けられたビニール袋に入れ、それを持って堂内へ進みます。

まず堂内に入ると先ほど見えた煌びやかな金箔の唐門を眺めることとなります。
手前には白い石が敷き詰められた平庭があり、横には大玄関、少し先には法堂。
その中にある唐門は構図としてもとても格好良いのです。
方丈から眺める唐門は、表から見るのとはまた一味違います。
その先を行くと、方丈のご本尊・宝冠釈迦如来坐像が堂内中央に祀られているのでお参りします。
一礼一杯することで自分の深いところにある心を見透かされているような気持ちになるのは私だけでしょうか。
この儀式とも言える行動がお寺ではとても大事になってくる気がしてなりません。

方丈を裏に回り込むと見事な庭園「池泉庭園」が見えてきます。
蘸碧池(さんぺきち)を中心とする池泉庭園は建長寺の創建当時にこの場所に作られました。
蘸碧池(さんぺきち)とは、緑の木々の色が青い水にひたって輝いていることを表しています。
開山の蘭渓道隆が自ら作ったという庭園は、古くから檀那や貴賓の応接に使われてきました。
設けられた椅子に腰掛けて庭園を眺める時間はきっととっておきの自分の時間になることでしょう。
ご本尊にお参りしてからここで庭園を眺めることで、素直な心で自らを見つめ直す良い時間となるはずです。

UNIQUELY鎌倉
建長寺 拝観時間・アクセス等

03-4 浄妙寺 喜泉庵

(画像)建長寺 喜泉庵からみる枯山水庭園

  • (画像)浄妙寺 喜泉庵からみる枯山水庭園
  • (画像)浄妙寺 喜泉庵内観1
  • (画像)浄妙寺 喜泉庵内観2
  • (画像)浄妙寺 喜泉庵内観3
  • (画像)浄妙寺 お抹茶と上生菓子

浄妙寺の茶堂・喜泉庵では枯山水の庭園を眺めながらお抹茶をいただけます。
畳に敷かれた緋毛氈の上で時間を忘れてゆっくりのんびり。
予約も不要で一般に参加できるお茶処の中では鎌倉随一の場所です。

金沢街道沿いにある浄明寺地区。
この辺り一帯は鎌倉五山第5位である浄妙寺の境内であった場所も多いようです。
かつては七堂伽藍に23もの塔頭を従えた大寺院でした。
字は違いますが地名として「浄明寺」が残されています。
現在も残る本堂は大きな屋根が特徴的で実に立派なものです。
山門から眺めると、後ろの山々を背景に佇む浄妙寺は実に雄大で見事。
四季の花々も楽しめる境内ですが、個人的には紅葉の時期の冬の気配をまとった景色が風情たっぷりで特に好みです。

茶室なので仏様は居ないのですが、喜泉庵は鎌倉随一のまったりくつろげるスポットです。
1500年代に僧侶たちが茶を喫する場所として存在していましたが時代の経過とともに一度は消失、平成3年に復興されました。
現在では一般参拝者がお抹茶とお菓子をいただける茶寮として親しまれています。
入り口を入ると土間になっていて、ここで靴を脱いで畳へと上がります。
薄暗い堂内から枯山水の庭園を望むと、眩しいほどの光を感じます。

掛け軸に書かれた「無心」という言葉の通り、色々忘れて無になりこの景色を眺めるのが至福の時。
山々に囲まれた浄妙寺の立地ならでは、耳を澄ますと鳥の声や虫の声がよく聞こえてきます。
そして枯山水というものは心を無にしてくれる効果がある気がしてなりません。
目と耳を凝らすとお抹茶が更に美味しく感じるのも不思議です。
ちなみにここで出されるお菓子は、鎌倉一と呼び名の高い老舗和菓子店「美鈴」さんのもの。
また、縁側にある水琴窟の音も是非聞いてほしいもののひとつ。
一定の間隔を開けて落ちる水がこだまして作り出す涼しげな音は、さらに癒しの要素となるでしょう。
日々の喧騒から逃れるため度々訪れる人も多いようで、私もその中の一人です。

UNIQUELY鎌倉
浄妙寺 拝観時間・アクセス等

「靴を脱いで」お堂に上がれる お寺一覧リスト

(画像)宝戒寺

宝戒寺

本堂の中に祀られた仏像を近い場所から見られるお寺。小さな境内には濃い内容が詰まってます。

(画像)杉本寺

杉本寺

本堂の中に祀られた仏像群を超至近距離で見られるお寺。鎌倉最古のお寺でもあります。

(画像)光明寺

光明寺

広い本堂の中を自由に出入りできる光明寺。材木座の海岸からすぐの場所にあるお寺です。

(画像)円覚寺

円覚寺

円覚寺の方丈と塔頭・佛日庵ではお堂の中に上がれる貴重な体験ができます。北鎌倉の臨済宗円覚寺派大本山です。

(画像)明月院

明月院

明月院の本堂は小さいながらも趣があります。悟りの窓で有名な方丈も見所です。

(画像)上行寺

上行寺

上行寺は一見変わった風貌のお寺と思われがちですが、独特の良さがあります。病魔退散にご利益のあるお寺です。

(画像)長寿寺

長寿寺

季節限定で公開される長寿寺の境内。お堂の中から見る景色は、美しく見えるように計算された絵画のようです。

(画像)建長寺

建長寺

建長寺の方丈では、堂内の拝観が可能です。そこから見る池泉庭園の美しさは息を飲みます。

(画像)浄妙寺

浄妙寺

浄妙寺の茶寮、喜泉庵ではお抹茶と季節の生菓子がいただけます。生菓子は老舗和菓子店の美鈴さんのものです。

鎌倉エリア別ガイド