鎌倉大仏と奈良大仏の比較

(画像)鎌倉大仏イラスト

目次

 01 
鎌倉大仏と奈良大仏の比較

日本で「大仏さま」といえば、多くの人が真っ先に「奈良・鎌倉」と口にするでしょう。それほど知名度のある大仏さま。実際どんな違いがあるのか、見た目はもちろんのこと仏様の種類や特徴なども比べてみました。

高徳院の鎌倉大仏(阿弥陀如来)

(画像)鎌倉大仏

東大寺の奈良大仏(盧舎那仏)

(画像)奈良大仏

鎌倉大仏 奈良大仏
寺院名 高徳院 東大寺
拝観料 200円(胎内拝観は別途20円) 大人500円、小学生300円
場所 神奈川県鎌倉市 奈良県雑司町
宗派 浄土宗 華厳宗
重要文化財指定区分 国宝 国宝
成立年代 1252年(建武4年) 742年(天平14年)
建てた人 僧浄光 聖武天皇
高さ 11.3m 14.98m
重さ 121t 250t
螺髪の数 656個、右巻き 483個、右巻き
仏像の種類 阿弥陀如来 盧舎那仏
印相 上品上生印 施無畏、与願印
大仏殿の有無 無し 有り
光背の有無 無し 有り
胎内拝観 可(20円)。胎内から見ると、一定の間隔で横に線が入っているのが表からよりも分かり易いです。鋳造過程を垣間見ることができます。 不可
鋳造方法 原型となる木型を作り塑土で外型を造る。外型に合わせて中型を作り、間に銅を流し入れるという仕組み。詳しくは高徳院のHPへ(http://www.kotoku-in.jp/casting.html)。 鎌倉大仏と同様。
  • ※参考文献 鎌倉大仏 「大佛 写真と解説(発行者 佐藤孝雄 鎌倉市長谷高徳院住職)」
  • ※参考文献 奈良大仏 「華厳経大本山 HP(http://www.todaiji.or.jp/index.html)」

02
鎌倉時代と奈良時代の背景

平城京を中心に国が発展していった奈良時代と、武士が初めて政権を取った鎌倉時代。それぞれの時代に造立された巨大な大仏さまは、人々のどんな思いによって作られたのでしょうか。

平城京を中心に栄えていた奈良時代。聖武天皇は天平13年(741)、国ごとに決められた寺院を置く「国分寺・国分尼寺建立の詔」を発し国家の統一を図りました。この時代は天然痘が流行したり、干ばつによって飢饉が起きたり、大震災が起きたりと非常に厳しい時代でした。奈良大仏は総国分寺に位置付けられた東大寺のご本尊で「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」と呼ばれます。華厳経(けごんきょう)における盧舎那仏は、宇宙の真理を体得した釈迦如来の別名で「世界を照らす仏・ひかり輝く仏」の意味です。左手で宇宙の智慧を、右手に慈悲をあらわしながら、人々が思いやりの心でつながり、絆を深めることを願っているとされます。ちなみに真言密教では大日如来とも呼ばれます。世界最大級の木造建築とも言われる立派な大仏殿の中に収まる大仏さまは、分厚く立派な光背を持ちます。
大仏造立は天平15年(743)、大陸の華厳経(けごんきょう)の影響を強く受けた聖武天皇の「大仏造顕の詔」によって始まり、同時に華厳経の教えが示されました。国民にも「一枝の草、ひとつかみの土」の助援をよびかけ、多くの民衆が造立に従事したと伝わっています。つまり聖武天皇は不安定な世を受け、国を挙げての国家事業として奈良の大仏さまを作ることで国家の安定を図ったわけです。

一方で鎌倉大仏が造立されたのは執権・北条泰時の頃で御成敗式目が制定され、武家政治が確立してきた比較的安定している世であったようです。鎌倉大仏の確かな情報はとても少なく謎の多い大仏さまとされています。源頼朝の侍女であった稲多野局によって発願され、僧浄光が民間の金銭を集めて造ったものと伝わります。発願は頼朝の側近ではあるものの時の政権は直接関係しておらず、民衆の浄財を集めて造立している点は奈良大仏と比較して大きく異なる点です。頼朝が奈良の大仏を見て鎌倉にも大仏を…と言ったという説もありますが、おそらくは民衆の思いによって造立された民衆の寄付による大仏さまなのです。実際にどのような人々が造立に携わったのかなど詳しいことは不詳のままです。
暦仁元年(1238)に着工し6年後に完成したものは当初木造であり、わずか9年後に天災で倒れてしまいました。再び資金を集め、建長4年(1252)に現在の青銅の像を鋳造したと伝わっています。造立当初は大仏殿がありましたが、度々天災で倒壊しては再建を繰り返しました。しかし、明応7年(1498)の倒壊以来は露座となったまま現在に至ります。また、なぜ蓮台(仏像の乗っている台座)や光背が無いのかということに関しては、民間の手により作られたため経済力が足りなかったと言われています。

※参考文献 「華厳経大本山 HP(http://www.todaiji.or.jp/index.html)」、「大佛 写真と解説(発行者 佐藤孝雄 鎌倉市長谷高徳院住職)」。

03
鎌倉大仏と奈良大仏の特徴

【鎌倉大仏】
露座の大仏さま

(画像)露座の鎌倉大仏

国宝に登録されている鎌倉大仏。多くの仏像が室内に大事に保管されている中、鎌倉大仏はこの大きさを保ちながらずっと露座のままなのです。明応7年(1498)に天災によって大仏殿が倒壊して以来、500年以上も雨風に晒されながらも鎌倉の街を静かに見守っています。度々修復を重ねていますが造立された当初のままの姿を保ち続けている点は非常に貴重です。青空の中に佇む大仏さまの姿は室内では感じられないような爽やかさでハンサムです。

【奈良大仏】
大仏殿

(画像)東大寺の大仏殿

東大寺の大仏殿は国宝に登録されています。外国人観光客からも人気のあるスポットです。東大寺一大きい建築物である大仏殿は、世界を見渡してもとても立派なもので「世界最大級の木造建築物」と言われています。幅57.5m、奥行き50.5m、高さ49.1m。創建当初はさらに大きな建築物だったと言われ、現在はその3分の2の大きさしかありません。それでも目を見張るこの大きさは訪れてみれば圧巻です。

【鎌倉大仏】
螺髪とお顔の特徴

(画像)鎌倉大仏のお顔

実際にお顔をじっくりと見てみると、長い年月を感じる実に味わい深い青銅のお肌をしています。頭髪のイボイボは螺髪(らほつ)と言われ、仏の三十二相(常人と異なる身相)の一つで巻き貝の形をした頭髪です。奈良大仏の螺髪と比べると巻き数が少なく太いのが特徴。全部で656個あります。眉間に一つあるイボは白毫相(びゃくこうそう)といい、仏はここから光を出して人を照らすとされます。また、目は下向きで髭のある口元は東洋的微笑と言われます。この微笑こそが鎌倉大仏から感じられる優しさの源なのでしょう。鼻すじは額から通っていて、鼻の穴は下から見上げないと見えないようになっています。右頬に残る茶色っぽい色彩は、かつて金箔に覆われていた名残だと言われています。

【奈良大仏】
螺髪とお顔の特徴

(画像)奈良大仏のお顔

現在の姿は胴体は鎌倉時代のもの、比較的新しそうに見えるお顔は傷も少なく綺麗で江戸時代のものと伝わります。螺髪は造立当初、966個と言われていました。大仏殿があるので上から螺髪を数えるのが長い間困難だったのだそうです。しかし近年の研究の結果、実際取り付けられたのは492個で、現在残るのは483個であることがわかりました。鎌倉大仏と同様に右巻きですが、鎌倉と比べるとその巻き数は多く、細い毛で巻かれているように見えます。

【鎌倉大仏】
印相

(画像)鎌倉大仏の印相

鎌倉大仏は阿弥陀如来です。印相(いんそう:手の組み方)は九品(くほん)で最も格式高い上品上生印(じょうぼんじょうしょういん)を組んでいます。または定印(じょういん)とも言い、阿弥陀如来の一般的な印相になります。この大仏さまの大きさですから、当然ながら印相もとても目立ちます。真似して写真を撮っている観光客もちらほら見受けられます。格式高い印相なんだと思いながら組んでみると、また違った世界が見えるかもしれません。

【奈良大仏】
印相

(画像)奈良大仏の印相

奈良大仏は盧舎那仏で印相(手の組み方)は施無畏印・与願印(せむいいん・よがんいん)と呼ばれるもので釈迦如来の一般的な印相になります。手のひらを前に向けた右手は、人々の恐れを取り除き、和らぎの心をもたらす印です。手のひらを上へ向けた左手は、人々の願いを叶え成就させる印です。大きな手のひらを目の前にしてみると、全てを包み込んで願いを叶えてくれそうな壮大な存在に思えます。

【鎌倉大仏】
蓮弁

(画像)鎌倉大仏の蓮弁

鎌倉大仏には仏様が座る台座を装飾する蓮弁がありません。民衆の浄財で作られた鎌倉大仏の造立では経済的に足りなかったのだろうと言われています。大仏さまの背中側にまわってみると、4枚の蓮弁が置かれています。江戸時代に蓮弁を32枚作ろうとしたようですが、4枚しかできなかったと伝わります。蓮弁の表面には携わった人々の名前などが刻まれていて、今でも確認することができます。

【奈良大仏】
光背

(画像)奈良大仏の光背

奈良大仏の光背(こうはい)には金色に施された大仏さまの大きさに見合った巨大な光背があります。これがあるだけでも奈良大仏の壮大さが感じられるくらいです。うしろや横から光背を眺めるとその分厚さと大きさに圧倒されます。光背は背後の後光を表すもので、よく見ると小さな大仏さまの形をした仏さまが16体付いています。これは「化仏(けぶつ)」と呼ばれる仏の化身です。釈迦が説法を説いた時に白毫(びゃくこう:眉間のイボのような毛の塊)から一千の光明と一千の化仏が現れたと言われています。

 

04
鎌倉大仏のフォトギャラリー

(画像)鎌倉大仏1

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奈良大仏のフォトギャラリー

(画像)奈良大仏1

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