苔と緑が美しいお寺、浄智寺。こじんまりとした中にも、どこか中世の雰囲気を感じられる不思議な空間です。三門へ続く苔生した石段も風情たっぷり。欠けたり曲がったりした様子も歴史を感じさせるものです。
鎌倉五山第四位である浄智寺は、かつては円覚寺と並ぶ境内を持ち、多くの塔頭を従えた大寺院でした。1283(弘安6年)年に北条時宗が、29歳で若くして亡くなった、弟である北条宗政のために創設しました。時代は、日本の危機であった元寇・弘安の役を時宗が乗り切った後のこと。一族内の争いが絶えなかった北条家ですが、時宗は支えとなっていた宗政の死を大変に悲しんだといわれています。
境内は緑が多く、まるで山に溶け込んだかのような景色です。新緑も紅葉も楽しませてくれます。境内の一番奥には七福神の一人「布袋(ほてい)尊」が祀られています。千客万来、家運隆盛、家庭円満、商売繁盛の神様といわれ、お腹を撫でると元気がもらえます。
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金峰山浄智寺 |
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臨済宗円覚寺派 |
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〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内1402 |
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北鎌倉駅から徒歩6分。鎌倉街道から一本、小道に入った所にあります。駐車場も15台ほどスペースあり。 |
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9:00 〜 16:30 |
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無休 |
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大人 200円 |
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0467-22-3943 |
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https://jochiji.com/ |
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無料駐車場あり。15台ほどのスペース。 |
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駐車場の片隅に停められます。 |
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自由。 |
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リードで繋げばOK。境内でも犬が飼われています。 |
◼︎名称:浄智寺(じょうちじ)
◼︎正式名称:金峰山浄智寺(きんぽうざんじょうちじ)
◼︎宗派:臨済宗円覚寺派
◼︎寺格:鎌倉五山第四位
◼︎御本尊:三世仏(阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒菩薩)
◼︎創建:弘安4年(1281)
◼︎開山:冗庵普寧(ごったんふねい)、大休正念(だいきゅうしょうねん)、南洲宏海(なんしゅうこうかい)
◼︎開基:北条師時
◼︎文化財:重要文化財などに指定された文化財を所持していますが、いくつかを鎌倉国宝館に寄託しています。
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉国宝館
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉国宝館に行くと、お寺がもっと楽しくなる
浄智寺は弘安4年(1281)頃に北条時宗の弟であった北条宗政の菩提を弔うために建立されました。宗政は元寇という国難でも北条時宗の片腕として活躍しましたが、その直後に29歳の若さで死去しています。浄智寺は夢窓疎石など名だたる高僧が住職となり最盛期には七堂伽藍を構える大寺院として栄えました。しかし江戸時代になり、鎌倉は農漁村となっていったので寺院も次第にさびれて行きました。その後も塔頭は8院ほど残っていたと伝わりますが、関東大震災ですべて倒壊し現在のような規模になりました。
鎌倉十三仏巡り、6番札所は浄智寺の曇華殿に祀られた弥勒菩薩(みろくぼさつ)です。未来を表す仏さまで未来仏とされます。弥勒菩薩は釈迦入滅後の56億7千万年後に釈迦の後継としてこの世に現れるとされています。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉十三仏
鎌倉三十三観音巡り、31番札所は曇華殿の裏手にひっそりと祀られている聖観世音(しょうかんぜおん)さまです。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音
鎌倉二十四地蔵巡り、12番札所は聖比丘地蔵(ひじりびくじぞう)さまです。現在は鎌倉国宝館に寄託しています。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵
「寶所在近」(ほうしょざいきん)と掲げられた総門は、苔生した石橋や鬱蒼と茂る木々に囲まれ風情があります。直訳すれば「財宝は近くに在る」となりますが、「仏を信じ、修行を積めば心の平穏が得られる」という仏の教えを意味しています。円覚寺開山の無学祖元の銘と伝わります。
鎌倉十井の一つに数えられる井戸です。甘露とは甘い水が出るわけではなく、仏徳で授かる霊水で不老不死の功徳があると言われます。
浄智寺を象徴する風情ある石段。ここを通って参拝者は境内に向かいます。欠けたり曲がったりしているところに時の流れを感じられます。
二階部分に鐘楼がつるされているので鐘楼門と呼ばれます。
浄智寺のご本尊を祀る仏殿は曇華殿(どんげでん)と呼ばれています。ご本尊は三世仏と呼ばれる過去・現在・未来を表す阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒菩薩です。建物の裏側に回ると聖観世音が祀られています。
茅葺き屋根の素朴な外観の書院は庭園側から見ても、正面から見ても実に美しい佇まいです。四季を通してその移ろいを楽しめます。
竹の生い茂る境内の奥手へ回ると、やぐらがいくつかありその中に狸の置物が祀られます。近隣で車にひかれるなどで命を落とした野生動物を思って設置されています。
境内の再奥にいらっしゃるのが鎌倉七福神のひとつである布袋尊(ほていそん)です。福徳円満のご利益があると言われます。チャーミングなその姿は誰もに愛され、お腹を撫でると元気がもらえることからそのお腹はテカテカと黒光りしています。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉七福神
参考文献:「鎌倉古寺歴訪 みほとけの祈り」山越実 著(平成29年4月5日 発行)、「鎌倉古寺歴訪 地蔵菩薩を巡る」山越実 著(平成26年10月18日 発行)