北鎌倉一の規模を誇る、鎌倉五山第一位の建長寺。北条氏に勢いのあった建長5年(1253)に北条時頼が宗から蘭渓道隆を招き、日本初の本格的な禅寺として創設されました。日本初の禅寺は、宗に渡り禅宗を学んだ栄西が1195年、九州・博多に建てた聖福寺。その後1202年に同じく栄西が京都・建仁寺を建てますが、こちらは当時の京で興隆を極めていた禅宗と天台宗・真言宗も含めた三宗兼学でした。南宋から渡来した禅僧を招き日本初の本格的な禅道場となったのがこの建長寺です。
現在でも盛んに座禅会や写経会が行われ、日本の禅宗の中心的存在です。
当時は49の塔頭を従えた壮大な寺院でした。全盛期には一千人もの僧侶がここで修行を積んでいたのです。時代の経過と共に縮小されてきたとはいえ、今でも立派な門構えが残り、広い境内が保持されています。ただ広大なだけでなく、多くの文化財や国宝が建長寺にはあります。
また、中国の宗時代の禅様式を模した配置となっているのが建長寺の特徴です。境内を歩いてみると分かりますが、重要文化財となっている三門、仏殿、法堂など主要な建物が直線的に並ぶ配置となっています。広い境内を散策しながら、壮大な歴史を感じてみて下さい。歩くのが好きな方は、奥へと続く「半僧坊」へ足を伸ばしてみるのもおすすめ。登った者にしか味わう事の出来ない素敵な景色と独特の世界観がそこにはあります。
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巨福山建長興国禅寺(こふくさんけんちょうこうこくぜんじ) |
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臨済宗建長寺派 |
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〒247-8525 神奈川県鎌倉市山ノ内8 |
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JR横須賀線北鎌倉駅徒歩20分 |
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8:30 〜 16:30 |
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無休(荒天時はお休みのことがあります) |
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大人 300円 / 子供 100円 |
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0467-22-0981 |
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http://www.kenchoji.com |
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国宝:梵鐘 / 絹本淡彩蘭渓道隆像 / 大覚禅師墨蹟 法語規則 重要文化財:山門 / 仏殿 / 法堂 等 |
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建長寺境内に駐車場あり |
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建長寺門前に駐輪場あり |
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基本的に自由ですが、撮影禁止エリアもあります。 |
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リードを短くすればOK。 |
◼︎名称:建長寺(けんちょうじ)
◼︎正式名称:巨福山建長興国禅寺(こふくさんけんちょうこうこくぜんじ)
◼︎宗派:臨済宗建長寺派
◼︎寺格:鎌倉五山第一位 / 臨済宗建長寺派大本山
◼︎御本尊:地蔵菩薩
◼︎創建:1253年(建長5年)
◼︎開山:蘭渓道隆
◼︎開基:鎌倉幕府5代執権北条時頼
◼︎国宝:梵鐘
◼︎文化財:重要文化財などに指定された多数の文化財を所持しているが、そのほとんどを鎌倉国宝館に寄託しています。
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉国宝館
建長寺の建つ場所はかつて地獄谷と呼ばれる処刑場で、亡者を弔うためにそこには地蔵菩薩をご本尊とする心平寺というお寺が建っているのみでした。時の執権・北条時頼は禅宗に深く帰依していた人物。この頃の鎌倉幕府は承久の乱を鎮めたことで公家側の権力が失速したため、全国的に強い権力を持っていた時代で政権として安定していたという時代背景があります。刑死者の菩提を弔う心平寺の信念を受け継ぎつつ、宗より蘭渓道隆を開山に迎え、建長5年(1253)にここに建長寺を建てるに至りました。日本初の禅寺として今日まで大きな役割を果たしてきています。
蘭渓道隆の直筆の銘が入った、国宝の梵鐘。重さ2.7トン、高さ2.1メートル。文字が浮き彫りになっているところが特徴で陽鋳と呼ばれます。大きな三門の右側にあり、一見見逃してしまいがちなのですが、近くで見ると実に立派で重厚な鐘です。茅葺き屋根の鐘楼に吊るされています。
鎌倉三十三観音めぐり、第27番札所は建長寺の塔頭・妙高院にいらっしゃる聖観世音さまです。一般拝観不可の妙高院ですが、御朱印をいただく時は境内に入ることができます。聖観世音さまは公開されていません。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音巡り
鎌倉三十三観音めぐり、第28番札所は建長寺の法堂に祀られた千手観音さまです。手前に釈迦苦行像、その奥に千手観音さまが祀られます。常時拝観が可能です。御朱印は総門入ってすぐの朱印所でいただけます。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音巡り
鎌倉三十三観音めぐり、第29番札所は塔頭・龍峰院に祀られた聖観世音さまです。御朱印巡りの人と檀家以外の一般参拝者は境内には入れません。本堂に聖観世音さまが祀られています。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音巡り
鎌倉二十四地蔵めぐり、第9番札所は仏殿に祀られた心平寺地蔵さまです。建長寺ご本尊の地蔵菩薩さまに向かって右手奥に並んでいるのが千体地蔵と呼ばれるたくさんの小さなお地蔵さま。その隣に並んで座っているのが心平寺地蔵さまです。建長寺創建以前にこの地にあった心平寺のご本尊でした。御朱印は総門入ってすぐの朱印所でいただけます。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵巡り
鎌倉二十四地蔵めぐり、第10番札所は済田地蔵さまです。このお地蔵様には年一度開かれる「宝物風入れ展」でお目にかかることができます。御朱印は総門入ってすぐの朱印所でいただけます。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵巡り
鎌倉二十四地蔵めぐり、第11番札所は勝上献地蔵さまです。建長寺の再奥、半僧坊にある小さな地蔵堂に祀られています。御朱印をいただくには半僧坊まで足を伸ばす必要があります。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵巡り
国の重要文化財に指定されています。三解脱(空・無相・無願)の門であるため三門と呼んでいます。門を通ることで煩悩を取り払い、心を清浄にしてくれます。現在の三門は安永4年(1775)に再建されたもので、空高くそびえ立つその姿は壮大で幽玄で、参拝者を圧倒します。楼上には釈迦如来像や十六羅漢像、五百羅漢像などが祀られます。
国の重要文化財に指定されています。ご本尊の地蔵菩薩を安置し、法要を執り行う場所です。普段は一般参拝者が参拝できるように開放されています。現在の仏殿は、正保4年(1647)に東京・芝の増上寺にあった崇源院(二代将軍徳川秀忠の夫人)の霊屋を移築したものです。天井の装飾が華やかなので、仏殿を訪れたら天井を見上げることもお忘れなく。
仏殿に入ると、建長寺ご本尊である大きな地蔵菩薩坐像が目に飛び込んできます。優しい眼差しを人々に向けている大きな地蔵菩薩さまです。禅寺のご本尊が地蔵菩薩であることは非常に珍しいといわれます。なぜ地蔵菩薩なのかというと、これは建長寺の縁起に由来しています。かつてここが地獄谷と呼ばれる処刑場だった頃、この地にあった心平寺というお寺のご本尊が地蔵菩薩でした。そのため、その意味合いを汲んで現在の地蔵菩薩坐像が祀られたと伝わります。地蔵菩薩は万人に分け隔てなく救いの手を差し伸べてくれ仏さま。罪人を救うべく祀られた心平寺の地蔵菩薩は今では「心平寺地蔵」と呼ばれ、ご本尊の傍に祀られています。
国の重要文化財に指定されている、仏殿の隣に並ぶ立派な建物です。法堂は住職が説法をするためのお堂として建てられました。本来、法堂には仏は祀りませんが、現在の法堂には千手観音像が祀られています。
法堂の天井に描かれた雲龍図は鎌倉出身の小泉淳作画伯によって2003年に描かれたもので、その迫力ある大きな絵画は必ず見ておくべきでしょう。人々を惹きつける格好良さがあります。
「UNIQUELY鎌倉」建長寺 雲龍図と小泉淳作画伯 特集
金色に輝く唐門は方丈の入り口にあります。こちらも国の重要文化財に指定されています。唐門の意味は「唐破風」を指していて、反曲した曲線状になっていることからそのように呼ばれます。境内のどこを見渡しても質素な建物や門が多い中、建長寺の唐門はとてもゴージャスな印象を受けます。
龍王殿と呼ばれる建長寺の方丈。本来は住職が居住する場所ですが、現在は法要・座禅などの行事に使われています。方丈裏には名勝史跡に指定されている開山の蘭渓道隆作庭の庭園が広がります。方丈内から見渡す庭園は見事な美しさで必見です。
「UNIQUELY鎌倉」靴を脱いで、お堂に上がれるお寺特集
建長寺境内の再奥に位置する半僧坊。境内奥へと伸びる長い参道を進むと最後は階段の急登が始まります。登りきった先で見える高台からの景色は素晴らしいものです。明治23年(1890)に第235代住職の霄貫道(おおぞらかんどう)が静岡県奥山方広寺より勧請しました。半僧坊は半分が天狗、半分が僧侶の姿をしています。半僧坊の社殿下の斜面には鳥天狗の像が多数立っていて独特の世界観を生み出しています。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵巡り
建長寺には現在でも12の塔頭があり、そのうちの一つが妙高院です。正しくは若昇山妙高院(じゃくしょうざんみょうこういん)といいます。貞和2年(1346)に創建され、開山は肯山聞悟(こうざんもんご)です。鎌倉三十三観音の第27番札所の聖観世音さまをご本尊に祀ります。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音巡り
こちらも塔頭のひとつである龍峰院です。正しくは蓬莱山龍峰院(ほうらいさんりゅうほういん)といいます。建治3年(1277)に建てられた八代執権・北条時宗の持仏堂が前身です。その後、九代執権・北条貞時が時宗の持仏堂を龍峰院として徳治2年(1307年)に創建しています。開山は隆約翁徳儉(やくおうとくけん)です。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音巡り
こちらも塔頭のひとつである回春院です。半僧坊へと向かう参道の手前を右手に分岐している道を進むと回春院があります。境内には大亀が住んでいると伝わる大きな池「大覚池」があります。ご本尊に文殊菩薩を祀る他、韋駄天像などを祀ります。境内は自由に拝観ができます。
参考文献:「鎌倉古寺歴訪 みほとけの祈り」山越実 著(平成29年4月5日 発行)、「鎌倉古寺歴訪 地蔵菩薩を巡る」山越実 著(平成26年10月18日 発行)