女性から離縁が出来なかった封建時代から明治時代まで約600年、縁切り寺法を行い女性を救済してきました。明治35年に尼寺としての幕を閉じ、それ以降は男性住職の禅寺として現在に至ります。禅寺として座禅会、写経、茶道、香道、挿し花など多くの体験教室や催し物を積極的に開いているお寺です。
四季折々の花が見られ、花の寺とも呼ばれる東慶寺。ご本堂の裏手に咲くイワガラミは特に見事です。派手さは無い花ですが、人を惹き付ける白い花。鎌倉の寺院によく似合います。毎年、開花時期の6月の初旬になると本堂が特別公開され、裏手のイワガラミを楽しめます。
華やかな花々の咲く通りの先には、境内奥地に広がる墓苑。ガラッと雰囲気の変わるこの場所は崖に囲まれた谷戸らしい景色。木陰を作る大きな木々たちが歴史を感じさせます。この墓苑では歴代の尼さんや住職、著名人たちが静かに眠っています。
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東慶寺(松岡山東慶総持禅寺) |
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臨済宗円覚寺派 |
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〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内1367 |
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JR横須賀線北鎌倉駅徒歩4分 |
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3〜10月 8:30〜17:00 11月〜2月 8:30〜16:00 松岡宝蔵、ショップまつがおか 9:30〜15:30 |
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松岡宝蔵、ショップまつがおか:月曜定休(祝日の場合は営業) |
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大人 200円 / 小中学生 100円 松岡宝蔵 400円〜500円 |
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0467-33-5100 |
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http://www.tokeiji.com |
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なし 近隣コインパーキングをご利用ください。 |
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なし |
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境内自由(三脚禁止)。堂内禁止。 |
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抱っこが出来れば入場可。 |
◼︎名称:東慶寺(とうけいじ)
◼︎正式名称:松岡山東慶総持禅寺(まつおかざんとうけいそうじぜんじ)
◼︎宗派:臨済宗円覚寺派
◼︎寺格:鎌倉尼五山第二位
◼︎御本尊:釈迦如来
◼︎創建:弘安8年(1285)
◼︎開山:覚山志道尼(かくさんしどうに)
◼︎開基:北条貞時(ほうじょうさだとき)
◼︎文化財:境内にある松岡宝蔵に多くの文化財を持ちます。国重要文化財である聖観音菩薩立像や東慶寺文書をはじめ、水月観音菩薩半跏像など魅力的な文化財を境内に所有しています。
鎌倉時代である弘安8年に覚山志道尼を開山として北条貞時によって創立されました。覚山志道尼は鎌倉幕府8代執権・北条時宗の夫人でした。詳しい創立に関する資料は残っていません。東慶寺は創設から明治までの間、女性から離別できなかった時代に女人救済の寺として約600年もの間「縁切り寺法」を守っていたお寺です。そのため「駆け込み寺」とも呼ばれて来ました。その間ずっと女性住職の尼寺でしたが、明治の廃仏毀釈によってこの寺法が廃止された時に、尼寺ではなくなりました。それ以来は男性住職が努めます。
東慶寺の松岡宝蔵に祀られた聖観世音さまは、鎌倉三十三観音の第32番札所となっています。現在は東慶寺に祀られていますが、以前は鎌倉尼五山第一位であった大平寺(現在は廃寺)にあったものでした。詳細はこちらで紹介しています。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音巡り
茅葺き屋根の小さな山門は、長い階段を上った先に構えています。決して華やかなものではありませんが、この素朴さが東慶寺の良さを逆に引き出しているように感じられます。以前は総門がありましたが、現在はこの小さな山門が東慶寺の玄関口となっています。
紫陽花の時期には鮮やかな花々に囲まれる東慶寺の鐘楼です。鐘楼の天井には龍の絵が描かれています(原画は松岡宝蔵でみることができます)。中に吊るされた梵鐘は、観応元年(1350)に鎌倉の補陀落寺で作られたものです。元弘2年(1332)、創設当時の梵鐘の銘文は、東慶寺の歴史を示す貴重な資料となっていますが、現在は静岡県韮山にある本立寺に祀られています。
こちらは非公開となっており、内部を見学することはできません。現在のものは関東大震災で倒壊してから、大正14年に再建されたものです。
こちらも非公開となっている茶室です。参道からひっそりと隠れるような場所にあるのでとても興味を惹かれます。東慶寺公式サイトによると、斎藤利助翁によって昭和35年に堀越家から寄進され移築した裏千家(茶道の一派)ゆかりの茶室となっています。
ご本尊の釈迦如来坐像を祀っています。参道から右側にある門をすすむと厳かな雰囲気の本堂があります。現在のものは昭和10年に建立されています。
水月観音像を内部に祀っているお堂です。本堂の左手に位置しており、美しい庭園とよく馴染んでいます。特に紅葉の時期には息を呑む美しさになります。予約すると拝観することが可能。加賀前田家の持仏堂であったものを、昭和34年にここ東慶寺へ移築しました。
以前は方丈があった場所に立派な宝物館として昭和53年に開館しました。釈宗演老師の遺言によってここに建てられたと言います。常設展示の重要文化財である聖観音像のほか、様々な展示が期間ごとに開催されています。仏像さまを近くで眺められるのも良いですが、「縁切り寺法」が実際どんなものであったかということに触れられる非常に興味深い展示ばかりです。
東慶寺の奥の方はすべて墓苑となっています。非常に古いものも数多く残っています。墓苑右手にある高い場所に残された歴代尼の墓苑にはぜひ足を運んでみてください。また、紅葉の時期には墓苑一体がとても美しい景観になります。
季節限定で本堂の裏手でひっそりと咲くイワガラミが毎年公開されます。白い小さな花が名岩にへばりつくように咲きます。名前の通り、イワに絡みつくように、つるを伸ばします。華やかさは無いのですが、素朴なその花は毎年とても人気で限定公開時には、その姿を見ようと多くの人が列を作ります。本堂のまわりに靴を脱いであがれる貴重な体験もできます。内部は拝観できません。
東慶寺は花の寺とも言われるほど季節の花々が美しいお寺。拝観口ではパンフレットと一緒に花ごよみという花のカレンダーもいただけます。個人的におすすめは、やっぱり紫陽花です。境内のいたるところで美しい花が見られます。また、大人しめな花ですがイワタバコ(6月見頃)という紫の小さな花もお寺の雰囲気とマッチして素敵です。墓苑の周辺にある岩壁にへばりつくように咲きます。
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉・紫陽花の名所特集