扇ガ谷に静かに佇む寿福寺は、かつて鎌倉五山第三位の勢いを持った大きな寺院の一つでした。現在一般参拝者が入れるのは参道と墓苑のみで、観光客に飲み込まれることなく静かに時を刻んでいます。現在残るのは総門、山門、梵鐘、仏殿、庫裏のみです。文化的価値の高い寺宝が残りますが、その多くを鎌倉国宝館に寄託しています。
寿福寺を象徴する石畳の参道は実に美しいものです。仏殿など境内のメインには入れないにもかかわらず、この景色と雰囲気を味わうため多くの人々が訪れます。静かなこの参道を歩いてみると、中世の音が聞こえてくるかのようです。
寿福寺の建つ場所は、もともと源氏代々の屋敷が建っていた場所でした。源頼朝は鎌倉幕府を開く際、この地を幕府の中心地にしようと考えていました。しかし用地が狭いなど条件が不適格だったためにその案件は見送られたと伝わっています。源頼朝の死後、その菩提を弔う目的で妻・北条政子によって正治2年(1200)寿福寺が建立されています。当初は小さな寺院でしたが、二度の火災で消失。その後、弘安元年(1278)になってから、七堂伽藍の大寺院として再建され禅寺としての基盤が整いました。
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寿福寺(亀谷山寿福金剛禅寺) |
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臨済宗建長寺派 |
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〒248-0011 神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-17-7 |
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JR横須賀線鎌倉駅徒歩10分 |
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参道のみ拝観可能 |
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無料 |
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門前に数台駐輪可能です |
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撮影可 |
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◼︎名称:寿福寺(じゅふくじ)
◼︎正式名称:亀谷山寿福金剛禅寺(きこくざんじゅふくこんごうぜんじ)
◼︎宗派:臨済宗建長寺派
◼︎寺格:鎌倉五山第三位
◼︎御本尊:釈迦如来
◼︎創建:正治2年(1200)
◼︎開山:栄西
◼︎開基:北条政子
◼︎文化財:重要文化財などに指定されたいくつかの文化財を所持していますが、鎌倉国宝館に寄託しています。
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉国宝館
寿福寺の建つ地は源氏代々の屋敷があった場所で、源頼朝は当初ここで鎌倉幕府を開こうと考えていたといいます。しかし、既に父・源義朝の菩提を弔うためにお堂が建てられていました。また幕府の用地としては狭く条件が不適格だったためにその案件は見送られたという経緯がありました。 その後、鎌倉幕府が開設され源頼朝の死後、寿福寺が建立されました。開基は妻の北条政子で開山には禅の布教をしていた栄西を招き、頼朝の菩提を弔う目的で建立されています。
鎌倉十三仏巡り、第4番札所は寿福寺の仏殿にご本尊とともに祀られた普賢菩薩です。釈迦三尊像は寿福寺のご本尊である釈迦如来と普賢菩薩、文殊菩薩の三尊を合わせた呼び名です。普賢菩薩は知恵を司る菩薩として信仰されています。
「UNIQUELY鎌倉」 御朱印と巡る、鎌倉十三仏
鎌倉三十三観音巡り、第24番札所は寿福寺の仏殿に祀られた十一面観音です。本堂は非公開のため、遠くから静かに参拝しましょう。御朱印は寺務所でいただけます。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音
鎌倉二十四地蔵巡り、第18番札所は寿福寺の地蔵菩薩立像です。現在は鎌倉国宝館に寄託されており、鎌倉国宝館に行けば参拝可能です。
「UNIQUELY鎌倉」 御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉国宝館
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉国宝館に行くと、お寺がもっと楽しくなる
「亀谷山」の山号が入った色褪せた紅色が印象的な総門です。奥へと続く美しい参道をここから眺めるのもおすすめ。
現在の寿福寺を象徴する美しい石畳の参道です。静かなこの空間を歩いていると中世の雰囲気を感じているような気さえしてきます。
非公開の仏殿には釈迦三尊、達磨大師、伽藍神倚像などが祀られています。綺麗に整備された庭園に静かに佇んでいます。
参道の先、内玄関に向かう途中に鐘楼があり寿福寺の梵鐘があります。一般参拝客は入れないエリアになりますが、御朱印をいただく時は間近で梵鐘を見ることができます。
境内裏手の墓苑の再奥にやぐらが多数あり、その中に北条政子と源実朝の墓と伝わる五輪塔があります。境内裏手の墓苑へと続く道は薄暗く、歴史を感じる雰囲気がある場所です。
参考文献:「鎌倉古寺歴訪 みほとけの祈り」山越実 著(平成29年4月5日 発行)、「鎌倉古寺歴訪 地蔵菩薩を巡る」山越実 著(平成26年10月18日 発行)