鎌倉駅から一番近いであろう寺院がここ大巧寺(だいぎょうじ)です。通称「おんめさま」と呼ばれる安産祈願で有名なお寺さんでもあります。若宮大路沿いに山門を構えビルの間に建つ姿は、すっかり現代の鎌倉の街に溶け込んでいますす。しかし、その歴史は鎌倉時代にさかのぼります。
大巧寺の詳しい歴史は今でも不明点が多いですが、鎌倉幕府の源頼朝が祈願所としたことがわかっており古くから鎌倉にある寺院の一つであることが伺えます。大巧寺の創建当初の開山は不明ととされていますが、日蓮宗へと改宗を行った日澄を開山と捉えることが多いようです。日澄は日蓮の弟子であった僧侶です。
おんめさまが安産祈願で有名なのには理由があります。簡単に言えば安産祈願専門のお寺さんだからです。特定の檀家を持たず、参拝に訪れた妊婦さんの祈願を行っています。御本尊の産女霊神は、第5代住職の日棟が難産で亡くなった女の霊を成仏させ供養塔をたてたのが始まりであるという伝承があります。
安産祈願は住職さんが予定日まで毎朝行ってくれます。安産守りに入っている折り紙が白色だと男の子、赤色だと女の子が生まれるという云われもあるようです。
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長慶山正覚院大巧寺(ちょうけいざんしょうがくいんだいぎょうじ) |
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日蓮宗 |
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〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町1-9-28 |
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鎌倉駅東口から徒歩1分。若宮大路を渡り道の反対側に見えるのが大巧寺の山門です。 |
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無料 |
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0467-22-0639 |
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http://onmesama.ec-net.jp/ |
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あり。山門と反対側に専用駐車場あり。無料。数台のみ停められます。 |
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駐車場に停められます。 |
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撮影可能。 |
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◼︎名称:大巧寺(だいぎょうじ)
◼︎正式名称:長慶山正覚院大巧寺(ちょうけいざんしょうがくいんだいぎょうじ)
◼︎宗派:日蓮宗
◼︎御本尊:産女霊神
◼︎創建:不明
◼︎開山:日澄(にっちょう)
◼︎開基:不明
◼︎文化財:寺宝である曼荼羅二幅のうち一幅は日蓮の真筆と言われている貴重なものです。妙本寺の霊宝殿に寄託されています。もう一つの寺宝である水晶五輪塔はご本尊の産女霊神の神骨が収められていると伝わるものです。
大巧寺は源頼朝の祈願所となっていたことから鎌倉時代の初期に創設されたと考えられていますが詳しいことはわかっていません。当初、金沢街道の奥にある十二所という場所に真言宗正覚院大行寺という寺がありました。ここで祈願した頼朝が大勝利を納めたあと、寺名を「大巧寺」とするように命じたと伝わります。その後、文永11年(1274)に日澄上人は大巧寺を日蓮宗へ改宗しました。そして元応2年(1320)には十二所から現在の場所へと遷ったとされています。創建当初の開山が誰であったかは未だにわかっていませんが、日澄が日蓮宗へと改宗していることから、日澄を開山と表記している場合が多いようです。
若宮大路に面した山門は、鎌倉駅東口のロータリーを出て一番最初にお目にかかれる寺院の入り口です。山門前は人通りも多いですが、寺院の風格を感じられる堂々とした佇まいです。
ビルの谷間といった雰囲気さえ感じるモダンな景観を持つ、大巧寺の参道。綺麗に整えられた花々を愛でながら参拝するのも醍醐味です。
えんじ色の屋根が特徴的な大巧寺の本堂です。御本尊の産女霊神が祀られています。
大巧寺は親しみを込めて地元では「おんめさま」と呼ばれています。
参道の脇はいつでも綺麗に整えられ、季節の花々が絶えません。所々にお寺の丁寧な心遣いを感じます。
大巧寺の裏門は、若宮大路と並行する一本奥の道へと通じています。山門から裏門へと通り抜ける地元民の姿もしばしば見受けられます。
参考文献:「鎌倉古寺歴訪 みほとけの祈り」山越実 著(平成29年4月5日 発行)、「鎌倉古寺歴訪 地蔵菩薩を巡る」山越実 著(平成26年10月18日 発行)