妙本寺の総門から住宅街の小道へと入って行くと、家と家の間に民家一軒分ほどの敷地に建つぼたもち寺に出会います。「ぼたもち寺」という名前のインパクトに思わず立ち止まってしまうこのお寺さん、正式名称は常栄寺(じょうえいじ)といいます。山門に掲げられた「これやこの 法難の祖師に はぎのもち ささげしあまが すみにしところ」という句。これこそがぼたもち寺と言われるようになった所以なのです。日蓮上人の滝の口法難の時、日蓮に帰依していたここに住む尼僧がぼたもちを捧げたという逸話です。実はこの話、お寺ができるよりもかなり前のお話で、実際にここにお寺が建てられたのは江戸時代になってからのことでした。それでも今なお「ぼたもち寺」という愛称を持っている…きっと何世代もの間で大切に語り継がれてきたのでしょう。
非常に小さな境内ですが参道の両脇にはたくさんの植物が植えられ綺麗に管理されています。夏場にはフヨウやトラノオといった華やかな花々が咲き誇り美しい景観です。
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常栄寺(慧雲山常栄寺) |
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日蓮宗 |
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〒248-0007 神奈川県鎌倉市大町1丁目12−11 |
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JR鎌倉駅東口から徒歩8分。妙本寺の総門に向かって左の細い道を入って行くと左側にあります。 |
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いつでも可 |
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なし |
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無料 |
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0467-22-4570 |
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ー |
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なし |
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なし |
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可 |
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◼︎名称:常栄寺(じょうえいじ)、ぼたもち寺
◼︎正式名称:慧雲山常栄寺(けいうんさんじょうえいじ)
◼︎宗派:日蓮宗
◼︎御本尊:三宝祖師
◼︎創建:慶長11年(1606)
◼︎開山:日詔(にっしょう)
◼︎開基:日祐(にちゆう)
鎌倉時代、この地には源頼朝が由比ヶ浜を遠く見渡せるように作ったという桟敷(さじき)と呼ばれる見物席がありました。ここを守っていたのが「桟敷の尼」と呼ばれる尼僧でした。文永8年(1271)のこと、滝の口の法難によって刑場へと引かれて行く日蓮に対し桟敷の尼は胡麻ぼたもちを捧げたといいます。この事が関連しているかは不明ですが、日蓮は結果として処刑を免れたため「お首継ぎに胡麻の餅」として人々に知れ渡るようになりました。江戸時代に入ってから、日祐尼によってこの地に常栄寺が建立されました。
住宅街の隙間に立つ小さな山門には「これやこの 法難の祖師に はぎのもち ささげしあまが すみにしところ」との句が掲げられています。「ぼたもち寺」の大きな文字が目を引きます。不思議とこの文字に吸い寄せられるように境内に入ってみたくなるものです。
日蓮宗の三宝祖師が祀られたぼたもち寺の本堂。毎年9月12日に行われる「滝口法難会」通称「ぼたもち供養」の様子を示した写真パネルがお堂の両側に貼られています。9月12日は滝の口の法難が起こった日です。
夏になると鎌倉のあちらこちらで見ることのできる大ぶりのピンクの花、フヨウ。ぼたもち寺の山門を彩っています。
こちらはトラノオという花の仲間です。空に向かってスッと真っ直ぐ伸びる様が清々しく、とっても綺麗です。