上行寺は大町にある日蓮宗の寺院です。北条政子が源頼朝のおできを治そうとお参りしたのが始まりといわれ、瘡守稲荷(かさもりいなり)と鬼子母神をお祀りしています。
お堂の外観にでかでかと掲げられた「癌封じ」の文字や本堂内に吊るされたたくさんの千羽鶴など、一見ユニークなお寺ですが毎日多くの参拝者が訪れます。「病魔退散」や「癌封じ」に強いご利益があるとされており、遠方からでも訪れる人が数多くいるそうです。
上行寺が建つ大町地域には日蓮宗の寺院が集中していて、どのお寺もわりと厳かな雰囲気です。しかし、上行寺は同じ日蓮宗なのにあっけらかんとしたオープンな雰囲気を放っています。そのため異色に思えますが、住職さんの温かな心使いがこの雰囲気を生んでいるのだと感じられます。「お経中でも遠慮なくお上がり下さい」「お気軽にお参りください」「浄財は強制ではありません」など、なにかと謙虚な言葉が所々に書かれています。畳敷きの本堂の中は座布団や椅子、扇風機や忘れ物コーナーまで設けられ、温かな空気が漂います。自分や家族の「病魔退散」を願う人々が多く訪れるからこその暖かい対応なのでしょう。住職さんは来る人来る人に優しく声がけをして下さいます。
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法久山大前院上行寺(ほうきゅうさんだいぜんいんじょうぎょうじ) |
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日蓮宗 |
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〒248-0007 神奈川県鎌倉市大町2丁目8−17 |
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鎌倉駅東口から徒歩10分。若宮大路を海側へ進み、郵便局のところから若宮大路の一本奥の道に入り海側へ進んでいきます。大町四ツ角交差点へ出たら左折し直進。しばらく進むと右側に見えて来ます。向かい側は安養院です。 |
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9:00-17:00 |
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無料 |
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0467-22-5381 |
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なし。近隣にコインパーキングあり。 |
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なし。 |
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撮影可能。 |
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◼︎名称:上行寺(じょうぎょうじ)
◼︎正式名称:法久山大前院上行寺(ほうきゅうさんだいぜんいんじょうぎょうじ)
◼︎宗派:日蓮宗
◼︎御本尊:三宝尊
◼︎創建:正和2年(1313)
◼︎開山:日範(にちばん)
◼︎開基:不明
正和2年(1313)に日蓮上人の孫弟子である日範によって創建されました。開基についてはよくわかっていません。
大町大路を逗子側へ歩いて行くと右手に安養院、左手に上行寺が見えてきます。落ち着いた雰囲気のずっしりとした山門です。
手書きの看板が数多く並べられた上行寺のユニークな本堂は、1886年の明治19年に妙法寺の法華堂を移築したものだと伝わっています。
本堂内部の右側に祀られているのが「瘡守稲荷(かさもりいなり)」です。手前には色とりどりの千羽鶴が吊るされ、一般のお寺とは違った雰囲気を持ちます。源頼朝のおできを治すように北条政子がお参りしたのが瘡守稲荷を祀る始まりだったといわれています。上行寺の「癌封じ」を司る神様です。
鬼子母神は安産や子育ての守り神とされています。本堂に入って左側の祭壇に祀られているのが鬼子母神。その手前には鎌倉でもいくつか祀られる千手観音がいらっしゃいます。祭壇の前の手書きの注釈も要チェックです。豆知識が得られます。
本堂の左側にある小さな祠に水子地蔵が祀られています。早産や流産で亡くなった胎児を供養するのが水子地蔵です。赤い帽子と涎掛けをして子供を抱いているお地蔵様は優しいお顔をしています。
参考文献:「鎌倉古寺歴訪 みほとけの祈り」山越実 著(平成29年4月5日 発行)、「鎌倉古寺歴訪 地蔵菩薩を巡る」山越実 著(平成26年10月18日 発行)