同じビーチでも、由比ヶ浜や七里ガ浜のような観光地感が少ないローカル色溢れる材木座。その街中に鎮座する大寺院・光明寺は浄土宗の関東総本山です。少し歩けば材木座海岸なので、サーフボードをかかえた人たちとすれ違ったりします。
光明寺は1243年に四代執権・北条経時の帰依を受けて然阿良忠により開かれました。どんな人でも受け入れるという浄土宗らしい開かれた寺院である光明寺は、圧倒的な存在感を持ちながらも親しみやすい雰囲気を放つ寺院なのです。鎌倉に現存する最大の門といわれる高さ20メートルの山門をくぐると、広い境内に重厚感のある御本堂があります。こちらは国の重要文化財で、木造建築では鎌倉一の大きさ。本堂は内覧が自由に出来るようになっており、煌びやかな大空間を自由に堪能することが出来ます。また、本堂から隣の開山堂、書院へと繋がる渡り廊下から眺める記主庭園がとても美しいです。夏には古代蓮の花が咲き、廊下に設けられたベンチから鑑賞するとため息が出るほどの景観です。
本堂裏手の山へ上がると展望台も設置されており、壮大な伽藍を上から眺めるという楽しみ方も。材木座海岸から由比ヶ浜までを見渡す絶景が待っています。
十夜法要の発祥の寺である光明寺では、毎年10月には4日間かけて盛大に十夜法要が行われます。出店が出たりして賑やかな雰囲気です。また、境内では至る所に猫たちがゴロゴロしていて、猫寺と呼ばれることもある光明寺です。
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天照山蓮華院光明寺 |
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浄土宗(浄土宗大本山) |
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〒248-0013 神奈川県鎌倉市材木座6-17-19 |
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鎌倉駅から徒歩30分。バスでは、鎌倉駅から「鎌40・7」小坪経由逗子駅行きに乗車、バス停「光明寺」下車。 |
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7:00 - 16:00 |
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無休 |
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無料 |
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0467-22-0603 |
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http://komyoji-kamakura.or.jp |
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30台ほどあり。無料。 |
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駐車場に停めることが出来ます。 |
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撮影自由。 |
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リードでOK。 |
◼︎名称:光明寺(こうみょうじ)
◼︎正式名称:天照山蓮華院光明寺(てんしょうざんれんげいんこうみょうじ)
◼︎宗派:浄土宗
◼︎寺格:大本山
◼︎御本尊:阿弥陀三尊
◼︎創建:寛元元年(1243)
◼︎開山:然阿良忠(ねんなりょうちゅう)
◼︎開基:北条経時
◼︎文化財:国宝「当麻曼荼羅縁起絵巻二巻・附松平定信添書一巻」を所持していますが鎌倉国宝館に寄託しています。その他、国重要文化財の絵巻など4点を所持しますがいずれも鎌倉国宝館に寄託中です。本堂(大殿)もまた国重要文化財に指定されています。
「UNIQUELY鎌倉」鎌倉国宝館
光明寺は鎌倉幕府四代執権・北条経時の帰依を受けて、浄土宗の三祖である良忠上人によって開かれました。浄土宗の開祖は法然上人で、二祖はその弟子・聖光上人。三祖の良忠上人はその弟子になります。歴任元年(1238)良忠上人は佐助ヶ谷に蓮華寺を創建し、その後寛元元年(1243)、現在の材木座に移り名を光明寺と改めました。光明寺を起点に関東における浄土宗の布教活動に勤めた良忠上人は没後「記主禅師」の諡号(しごう)を賜りました。五代執権・北条時頼の時代以降、光明寺は関東における念仏道場の中心となり、浄土宗関東総本山となりました。現在では浄土宗の大本山として鎌倉の地に在り続けています。
鎌倉三十三観音の18番札所は光明寺の本堂に祀られた如意輪観世音菩薩です。堂内左側に祀られています。間近で参拝が可能です。御朱印は寺務所でいただけます。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音
鎌倉二十四地蔵の22番札所は光明寺の地蔵堂に祀られた網引延命地蔵菩薩です。本堂手前の小さな地蔵堂に網引地蔵と延命地蔵が祀られます。御朱印は寺務所でいただけます。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵
現在の山門は弘化4年(1847)に再建されたもので、高さ20m、幅16mの巨大な山門は鎌倉に現存するものでは最大です。山門は楼上に釈迦三尊と四天王、十六羅漢を祀ります。20名以上で申し込むと楼上の拝観が可能。または3月下旬の観桜会か10月の十夜法要でも拝観ができます。
ご本尊を祀る光明寺の本堂は大殿と呼ばれます。名前の通り目を見張る大きさです。十四間四方の大堂は現存する鎌倉の木造古建築の中では最大。元禄11年(1698)に建立されました。拝観が自由にできる堂内は非常に広く感じられるスペースで煌びやかな装飾が施された仏像の周囲は荘厳な雰囲気です。本尊のほか善導大師像、法然上人像、如意輪観音像(鎌倉三十三観音・18番札所)、和賀江島弁財天像などを祀ります。国重要文化財に指定されています。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉三十三観音
「UNIQUELY鎌倉」靴を脱いで、本堂に上がれるお寺
阿弥陀三尊(阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩)が光明寺のご本尊です。大殿の中央に祀られるご本尊は極楽浄土を表した煌びやかな装飾の中にいらっしゃいます。一段下がった畳の上から直接お参りができます。
蓮池を中心に作られた見事な浄土宗庭園です。本堂から開山堂へ通じる廊下から眺めるその様は鎌倉随一の美しさと言って良いでしょう。対岸にそびえる風情ある大聖閣(たいしょうかく)は宗祖・法然上人の没後800年を記念して建てられました。
本堂の右手にある立派な石庭です。「三尊五祖の石庭」と呼ばれます。三尊とは阿弥陀三尊(阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩)を示し、五祖は浄土教を広めた釈尊(印度)善導(中国)法然・鎮西・記主(日本)の浄土宗五大祖師を示しています。この三尊五祖が、庭園の中に石で示されています。また、煩悩が多いこの世と救われていく彼の世が庭園の中に表現されています。
開山の良忠上人の尊像と歴代住職を祀る開山堂です。良忠上人は浄土宗の第三祖として関東に念仏の教えを広めました。浄土宗の基盤を作った功績を称えられ、没後に伏見天皇から「記主禅師」の諡号(しごう)を贈られました。
本堂の背後の山は山号と同じ天照山(てんしょうざん)と呼ばれます。境内にある幼稚園の横を通り本堂の裏を通ると天照山に上がることができます。頂上からの眺めはかながわの景観50選にも選ばれる絶景。天気の良い日は富士山まで見渡せます。
本堂正面の脇にある小さな地蔵堂には網引地蔵と延命地蔵が祀られています。鎌倉二十四地蔵の第22番札所で、二つを合わせて「網引延命地蔵」と呼ばれます。
「UNIQUELY鎌倉」御朱印と巡る、鎌倉二十四地蔵
開山の良忠上人は佐助ヶ谷に住んでいた時に小狐を助けたことがありました。すると夢に親狐が現れお礼に薬種袋を残していきました。鎌倉に疫病が流行った時にこの薬種を蒔いて薬草を用いると病魔は退散したと伝わります。その後、稲荷大明神として光明寺に勧請されました。
弘化4年(1847)に建造された鐘楼堂。大殿手前の右手に鎮座しています。現在の梵鐘は昭和36年に鋳造されたものです。朝と夕方には鐘の音を材木座海岸に響き渡らせます。
寛文3年(1663)に作られた銅像です。善導大師は中国の唐時代に活躍した浄土教の高僧。浄土宗の開祖・法然上人は善導大師の教えよって浄土宗を開きました。浄土宗においては善導大師を高祖と崇拝しています。
山門をくぐりすぐ右手にあるのが動物霊堂です。湘南獣医師会動物霊堂奉賛会により管理されています。不幸にして亡くなった動物を供養しています。湘南地区に住んでいれば、愛するペットを供養してくれます。年2回動物慰霊祭が本堂にて行われます。
2014年に亡くなった俳優・高倉健さんの墓碑です。浄土宗と深い関わりがあったため、大本山であるここ光明寺に墓碑が作られました。墓碑の高さは健さんと同じ180cmでご本人の映画人生の節目となる年に段差が作られています。
参考文献:「鎌倉古寺歴訪 みほとけの祈り」山越実 著(平成29年4月5日 発行)、「鎌倉古寺歴訪 地蔵菩薩を巡る」山越実 著(平成26年10月18日 発行)