材木座の住宅街の中に時宗の寺院、向福寺があります。バス通りから本堂は見えず、家と家の間を入った少し奥まった場所が境内となっています。境内には庫裏と本堂、墓苑があるのみで小さなお寺です。
山門は無く、「時宗 向福寺」と刻まれた石碑とその上を覆う大きな桜の木がお寺の入り口の目印です。海街の民家といった雰囲気を醸し出している本堂は赤い屋根が印象的で、どことなく昭和の香りを漂わせています。参拝者が来るとお寺の方が本堂の扉を全開にして、ご本尊の阿弥陀三尊が見えるようにしてくれます。安阿弥(あんあみ)作といわれる阿弥陀三尊は南北朝時代の作で、左脇侍の観音菩薩は鎌倉三十三観音の十五番札所となっています。本堂の軒下にはお守りなどが並べられ、こちらで授与できます。墓苑の入り口には二体の石仏のお地蔵さま。一体は半跏趺坐のお地蔵さまで、もう一体は3回地獄に亡者を連れ戻しに行ったと伝わる「袖引き地蔵」と呼ばれるお地蔵さまです。
弘安5年(1282年)に一向俊聖(いっこうしゅんしょう)上人によって創建された向福寺ですが、1923年に起きた関東大震災の大津波で甚大な被害を受けており、その際に寺史に関する史料を紛失しています。鎌倉を流れる滑川を逆流して津波が押し寄せ、材木座のこのあたりの地域は被害が大きかったと言われています。
※参考文献 山越実 「鎌倉古寺歴訪 地蔵菩薩を巡る」かまくら春秋社 平成26年10月18日 発行
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円龍山向福寺(えんりゅうざんこうふくじ) |
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時宗 |
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〒248-0013 神奈川県鎌倉市材木座3丁目15-13 |
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鎌倉駅東口から徒歩16分。バスでは鎌倉駅東口の7番乗り場から鎌12系統「九品寺循環」に乗り、バス停「五所神社」で下車すると入り口はほぼ目の前、徒歩1分です。 |
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無料 |
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0467-22-9498 |
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なし。近隣にコインパーキングあり。 |
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なし。 |
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撮影可能。 |
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鎌倉三十三観音の十五番札所になる向福寺。ここでは聖観世音さまにお参りしましょう。