大町の日蓮宗の寺院・妙本寺の総門を右に曲がり住宅街を歩いて行くと左手に八雲神社があります。なんと、祇園山ハイキングコースの入り口はこの八雲神社の中にあるのです。鎌倉にあるその他のハイキングコースの中にも「人様の家の敷地内じゃないか?」と不安になるようなコースの出入り口があったりしますが、今度は神社です。これも鎌倉ならではの特徴といえるでしょう。
夏には「鎌倉祇園大町まつり」と呼ばれる大きなお祭りが行われていることでも有名な八雲神社。道中の無事を祇園さまにお願いしたところで、いよいよハイキングへ出発です。社殿の右側の細い道を入って行くと「祇園山ハイキングコース入り口」の表示があります。果たして大丈夫なんだろうかと心配になるくらい細い道で頼りない入り口ですが、気にせずに進みましょう。
八雲神社から細い階段を登っていきます。崖に道を付けたのが分かるような、ジグザグと折り返しながら進んで行く細い細い道。しかも結構な上り坂。入り口を目の当たりにした時より、さらに不安になって来ますが…もう一息です。しばらくすると、一般的なハイキングコースの風景になり、一安心。ここから分岐点まで急坂を登れば絶景が待っています。
見晴台は相模湾が見渡せる気持ちのよいポイントです。右側を見渡すと稲村ケ崎が良く見えます。清々しい風を感じながらここで休憩するのも季節によってはおすすめです。
見晴台から分岐点へ戻ったら、次は腹切やぐら方面へ向かいます。わりと尾根道が続くところが多いですが、アップダウンもあり。やたらと開けた場所があったり、人工的に盛られたのかと思うような小高い場所があったりします。もしかすると昔は何かに使われていたのかもしれません。しばらく続く尾根道は、そんな想像を掻き立てられる歴史道です。
穏やかな尾根道を25分ほど歩くとハイキングコースの出口である、腹切やぐらと東勝寺跡へ到着します。
「腹切やぐら」とは一体何者か…と、進んで行くと左の壁際に小さな祠がありました。ひっそりしていて妖しい雰囲気。このあたりから空気が変わることを霊感の全くない私でさえ感じ取ることができます。最後の坂道を下ると、ハイキングコースの出口に「高時腹切やぐら」の表示を発見。鬱蒼と生い茂る背の低い草木の間に小道が続き、その先に大きめのやぐらがあるのが確認出来ます。『霊処浄域につき参拝者以外の立入を禁ずる 宝戒寺』と立て札があり、これを見れば誰もが一挙に涼しい気分になることでしょう。ちなみにここは近くの宝戒寺によって管理されています。その先には「東勝寺跡」というだだっ広い荒野があり、こちらもまた鎌倉幕府を語る上では外せない重要な歴史ポイントです。